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全開するあなたへ ―― 文月悠光さんに   


私はあなたを知る
言葉を信じて
想いを開いたまま 動いているあなたを

いのちのほとばしりを留めてしまう日常の中にあるすべてに抗って
地中の深い奥底から
立ち上ってくるものを手に掬う

幾日も幾日も握り締めている思いが
それでも壊れずに
硬い どこか遠い宇宙から落ちてきた隕石のように
鼓動している

それは大きくなるというより
強く美しく弾力を響かせていて
紅々(あかあか)と流れる血潮が脈打っている

信じるということは
私の中の私そのものが
今を頼んで呼吸するということ

生まれ落ちた言葉が
私に出遭う
やがて私は
言葉の中に私を投げ入れる日があることを
知る


私のおやゆび

※現代詩手帖2月号に文月悠光さんの詩、「私のおやゆび」が入選しました。
  おめでとう!
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by hannah5 | 2007-02-28 00:45 | 作品(2004-2008) | Comments(2)

閑話休題   


アフリカのスーダンで仕事をしている友人が、ケニアのマサイ族の写真を撮ったので借りました。


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以下、友人の紹介文から一部引用させてもらいました。

「訪ねたのはケニアでも伝統的な生活を守っていることで有名なマサイ族の村。一夫多妻制で女性の立場はすこぶる弱く12歳から結婚適齢期。女性は水汲み、家事、子供の世話、家を建てることなど生涯働きづめの中、男性はひたすら踊りまくるという非常にカルチャーショックな文化。

写真の女性たち(真ん中)はたいてい子供は4人、年齢は分からないということだけどどう見ても15歳くらいにしか見えなかったし、写真の人の良さそうなオッサン(上)は52歳、妻4人「子供の数は覚えてない」そうな。(文化的にタブーな質問だったのかもしれない)

マサイはアフリカによくある牛文化があって、食べ物が足りないだろうが、旱魃で牛がバタバタ死のうが殺さない。昨年、うちのスタッフは「水不足で牛が死ぬ前に売るか食べてしまえっ!」と村の人たちにいったそうだけど、結果は牛の大量死亡。さらに学校に来る生徒の一番の不安は「象が道をふさいで危なくて来れない」だった。

ナイロビにはマサイの文化に惹かれてスワヒリ語を学びにきた日本人学生たちが結構いるほか、マサイと結婚した日本人女性もいる。」

(2/26更新)


******************


マサイ族はアフリカの数ある部族の中でも、殊にプライドが強い部族として知られています。
アメリカに留学していた頃、マサイ族の若い男性が留学生として学びに来ていましたが、時々彼から聞く話は面白かったです。マサイ族の独身の男性は、ライオンを仕留めることが将来良い夫になる条件なのだそうです。彼の腕にもいくつかの傷跡があって、ライオンと格闘した時にできたものだと誇らしげに見せてくれました。

友人によると、マサイ族の男性と結婚している日本女性もいるとか。
ライオンが仕留められる男性って、かなり男らしいかもしれませんね。

ビバ、マサイ族!
一度アフリカに行きたい、マサイ族に会いたい、とかねがね思っております。


*******************


その後の話。
マサイ族の男性と結婚したこの日本女性ですが、実際には男性の「側室」にあたるらしく、家事は「正妻」が一切取り仕切り、彼女は家事をすることができないので、ガイドなどの仕事をしているそうです。
ふむ。。。 国際結婚もなかなか大変。。。

(写真を大きくすることができました^^)

(2/27追加)
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by hannah5 | 2007-02-27 14:01 | ご挨拶 | Comments(8)

上昇していく、広がっていく ―― 詩に   


そんなに簡単に
私を惚れさせないで

私は惚れっぽいけれど
飽きっぽい
熱くなりやすいけれど
行くところまで行って
それ以上は広がらないことがわかると
一気に冷めてしまう

先が見えるということは
私にとっては
―― たぶんあなたにとっても
致命傷なのだ

私たちの関係はまだ始まったばかり
百あるとすると百分の一にも満たない
〇.一くらいの薄い関係だ
私はまだあなたをよく知らないし
あなたも私をよく知らない
お互いにかなり波長が合うということを除いては
海も山も乗り越えたことがないし
ましてや修羅場を経験したことがない

けれど、私は感じる
あなたといることが
想像している以上に大きくて深いことを
あなたと生きていくことが
思っている以上に
私を極限まで引き上げてくれることを

だからどうか
そんなに簡単に
私を燃やさないでほしい


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by hannah5 | 2007-02-26 00:58 | 作品(2004-2008)

私の好きな詩・言葉(98)「(岩は樹間を・・・・・・)」(野村喜和夫)   


岩は樹間をさわやかに泳いで行った、
滞留はなかった、
私たちはもう
旅の宿でさえも
雨の音を聴きながらめざめていた、
ちかづく雨あしに遠ざかる雨あしが重なって
それは、それは
ひきちぎられた耳に
父祖の唖を語り伝えてくるかのようだった、
湯への道
うねる美しい等高線
朝の過不足ない高みだった、
私たちはもう
カメラ、観光案内図
カルデラ湖の静寂
などをかかえて
朝の過不足ない高みだった、
雨はやがてあがり
沢を川霧がのぼってきた、
滞留はなかった、
といえる私たちの欲望そのままに
それは、それは
ひきちぎられた耳に
熱い顔の記憶がひろがってゆくかのようだった、
雨はやがてあがり
咬む愛でちかづくような船のまぼろし
山野をわたり歩く狂気の画家がひとり硬直していた、
空をとびかう種子がまぶしかった、
岩は樹間をさわやかに泳いで行った、
そのユーモラスな位相
うねる美しい等高線
などをかかえて
ひきちぎられた耳がまぶしかった、
誰のものでもなかった、
けれどもまだそのあたりへ
水平線がびっしりとこびりついていた、
触れるな!
といえる私たちの欲望そのままに
沢を川霧がのぼってきた、
滞留はなかった、
そして子供たちの歓声がはるか上になって
私たちはもう
誰のものでもなかった、
咬む愛でちかづくような船のまぼろし
またそれをくつがえすまでの
私たちはもう
カルデラ湖の静寂。


( 『現代詩文庫 野村喜和夫詩集』 より)

他1篇
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by hannah5 | 2007-02-25 01:35 | 私の好きな詩・言葉 | Comments(0)

熱く保っていてください   


できるなら まだ熱くいてください
できるなら まだ私と歩いていてください
一ミリくらいの薄さの距離をうまく保ちながら
つかず離れず
けれど 私のごく身近な存在として
そのままそばについていてください

時間は今 やっと始まったばかりです
やっと息をし始めたばかりです
長い間 冷たく眠っていたものが
―― いつ眠りから覚めるともわからずに
やっと目を覚ましたばかりです

外界は混沌としていて
一寸先が見えにくいような
極めて見通しの悪い状況です
いつこの霧が晴れるのか
いつまでも霧が晴れないのか
このままずっと見えにくい状況の下で
熱くいるのは難しいかもしれません

けれど まだ諦めないでください
まだ待っていてください
まだ熱く保っていてください

面白くなりそうな予感がするのです
暖かくなりそうな気配がするのです
朝日が上って霧が消えていく予兆があるのです

だから どうか気持ちを落とさないでください
どうか 今開き始めた空気を
胸に抱きしめていてください

More
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by hannah5 | 2007-02-24 20:00 | 作品(2004-2008)

噴き上げる   


私たちは終わりのない口論を繰り返した
自尊心がガラスのように砕けて
飛び散った破片をまともに掴む
冷たい鮮血が血しぶきを噴き上げる
ぬるぬるした生臭いものが
あたり一面に広がった

私たちはいつから槍を持つようになったのだろう
闇が静けさを取り戻している間
槍を縦横に振り回し
もっとも繊細な暗闇に突き入れる

小さな空間の中で
幾度もあげる蒼白の叫び声が
上目遣いにこちらを見ている
憎しみともどかしさが
絡まりついて切り裂いていく

苦しみは訴えられなかった
痛みは告げられなかった
槍を突き合わせることだけが
生きていた



辿り着くことのない哀しみが
深い底の方に澱んでいる
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by hannah5 | 2007-02-22 23:14 | 作品(2004-2008)

新しい言葉   


新しい言葉
新しい表現
面白い言葉遣い
他人と違う感性
私だけの未開拓な私そのものの

誰もがやっきになって探す

しかし
新しい言葉
なんてあるのだろうか

言葉は人間が存在する前から在った
やがて言葉は私たちの間に住むようになった※

私たちは日々、言葉をもらい
言葉の中で暮らし
言葉を使い
今まで出遭ったことのない言葉に出遭う

自分の中のアンテナが
出遭ったことのない言葉を捉え
思考のフィルターを通して言葉を再生する
それは幾分、自分いろであり
時には多分に歪められている

自分いろに変色されたり
歪められたりしている言葉の存在を
人は新しいというのだろう

言葉は恐ろしく従順で忍耐強い
美しく強くしなやかだ
古代人の頭脳の中で生き抜いてきた言葉が
現代人の頭脳の中でも生き続け
色も匂いも形も違う言葉に再構築される

しかし、私は新しい言葉を発見しない
言葉が私を見い出し
私を育てていくだけだ


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by hannah5 | 2007-02-20 23:39 | 作品(2004-2008)

夕べ、あなたを愛した   


たまらなく
たまらなく
愛すること

赤い塊のような
―― 燃え上がる焔のような
―― 噴き出す鮮血のような

赤という赤が溢れて
あたり一面を隈なく覆い尽くす

見えるものは熱
古いものは次々と焼かれ
生まれ続ける熱が赤い

赤が熱に破れて溶け出す頃
奥底が呑み込まれそうになる

鼓動と鼓動がぶつかり合い
力を振り絞って押し返す

胸倉に棲んでいる魂ひとつ
まぎれもなく
たまらなく

愛するということ
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by hannah5 | 2007-02-19 23:18 | 作品(2004-2008)

主の臨在の中で   


聖霊の甘やかな風が吹く
人々の上を
人々の間を
人々の中を

心の襞の奥深くに分け入り
静かに満たしながら

しまい込んでいた古い傷が
主を見上げる心の裡から
滴となって零れ落ちる

聖霊の風がしみじみと吹く
主に向かって伸ばした手に触れ
飢えていた心を浸しながら

主の臨在の中で
思いが解き放たれ
過去から未来までの
時間の流れが癒されていく

今夜は。。。
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by hannah5 | 2007-02-18 23:34 | 作品(2004-2008) | Comments(0)

ビニールパックのクスクスク   


不思議な空間が
ひとつ 届いた

ビニールパックの中には
  詩編 「生まれること」×1
  KSKSKの署名入りポストカード×2
  8ミリフィルム断片×1
  オリジナルポラロイド写真×1
  「two postcards for 1 person」より1編
  和紙のすき紙 1枚
  「生まれるもの」の目次 1枚

それから
ドローイングのポストカード 4枚
  “untitled” on paper 40×30 cm 2006
     鉛筆、クレパス、水彩、アクリル、新聞。
  “power to believe” on paper 2006
     鉛筆、水彩、クレパス、蔵書票。
  “poptone” on paper 33×24 cm 2006
     クレパス、水彩、アクリル、和紙など。
  “untitled” on paper 40×35 cm 2006
     鉛筆、水彩、油彩、墨、アクリル。

計12点が
丁寧に包まれ
封筒に入れられて届いた

ポストカードが興味深々と
こちらを見ている

なんだかすごい

8ミリフィルムの断片は
何かの象徴かしらん
蛍光灯に透かして
覗いてみる

何やかやと人間関係は難しいらしいけど
そんなことではへこたれなくて
心が孕んだものを
ポコリポコリと産み落としている

もしかすると
このビニールパックは
あの有名な詩人の詩に匹敵するかもしれない
二人の違いは点と線
薄い皮膜を隔てて
そう遠くない位置に対峙しているに違いない

志久さん
不思議な空間、ありがとう

これ、空へ飛んでいくよ


ポストカードと、マルチプル。
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by hannah5 | 2007-02-16 23:48 | 作品(2004-2008) | Comments(4)