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『旋律 第21号』   


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夏の「旋律」に、ふたたび参加させていただきました。(作品は「アドレッセンス1」と「アドレッセンス2」です。)

今回の表紙は、3年ほど前に絵を始められ、最近個展を開かれるなどして活躍されている志久浩介さんが担当されました(4月に福岡で個展、6月に長崎で個展を開催されたばかりです)。志久さんの絵はいつもいろいろなイメージをかきたててくれます。今回の「旋律」の表紙は、日本の陶器(伝統)、コンテンポラリーアート(前衛)、宇宙の響き(未来)という三者が微妙な陰影で共鳴し合っているのを感じました。

この「旋律 第21号」を希望者にさしあげたいと思います。希望される方は、鍵コメにて、氏名と連絡先のメールアドレスをお知らせください。折り返し、こちらからご連絡させていただきます。今回、志久さんの絵が表紙になったため、「旋律 第21号」の写真は敢えて出しませんでした。志久さんの絵をご覧になりたい方は、ぜひ「旋律」を手に取ってご覧になってください。

志久さんのブログ: HOPE

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by hannah5 | 2008-06-29 23:02 | 投稿・同人誌など | Comments(0)

La Voix des poètes (詩人の聲) ~ 野木京子さんの朗読会   


6月26日(木)、野木京子さんのポエトリーリーデイングに行ってきました(天道大人氏プロデュース)。会場は東京都世田谷区太子堂にあるStar Poets Gallery という小さなギャラリーで、10人も入ればいっぱいになるかわいらしい空間でした。少し遅れて行ったので、会場に着くとすでに朗読は始まっていました。Star Poets Gallery はヒーリング系のオイルやアクセサリーを販売していて、色とりどりのきれいなオイルボトルが並べられた棚の前で、野木さんはゆったりと朗読されました。私が着く前には『銀の惑星その水棲者たち』(第一詩集)の作品も読まれたとのことでしたが(聴けなくて残念でした)、私が着いてからは『ヒムル、割れた野原』を中心に読まれました。

野木さんは前回まではあらかじめ作品を決めておいて朗読されたそうですが、今回はどの作品を朗読するかは決めず、会場で作品に導かれるようにして朗読されました。話す時は優しい柔らかい声の野木さんですが、朗読をする時はりんと張ったよく通る声で朗読されます。他の詩人さんの作品はどうかわかりませんが、野木さんの作品は目を閉じて聴いた方が言葉のエネルギーが伝わってきます。そのエネルギーが胸に迫ってきて、それはまるで宇宙の中で一筋の強烈な光線に何度も出遭うような感じでした。

朗読会の後は二次会に参加させていただきました。(帰りますと言ったのに、誘われるとすぐ乗ってしまう節操のないはんなでした。)私の前に座っていらしたのは、なんと「スーハ!」の同人の八潮れんさん。とても美しい方だったので、初めは女優さんかと思ったほどでした。暴君ハバネロみたいな天童大人さんは相変わらずハバネロみたいにお元気でした。野木さん、前回にも増して、とても楽しかったです。チロルチョコレート、ありがとうございました。




(声を発しないものを愛する習性が私にはあって


声を発しないものを愛する習性が私にはあって
誰の記憶にも残らない一本の中くらいの
裏側に傷のある樹木のように
彼らがこちらを見もせずにただ歩いて横切っていくさまを
立ったまま見ているだけの日もあって
そのことが幸福だった
おそらく惑星が傾いだり
ひとつのなにかの世界が消え去ってしまうときにまでも続くくらいの幸福が
裏側に傷のある中くらいのおかしな形に崩れそうな樹木を
支えていたのかもしれない

                    ( 『ヒムル、割れた野原』 より)

野木京子さんの略歴
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by hannah5 | 2008-06-27 21:57 | 詩のイベント | Comments(0)

ぬくもり   


いそがしくしていて
小さな思い出に手を振ることもできないほど
いそがしくしていたら
声が聞こえなくなった

あなたがじっと顔を覗きこんで
何かわたしに話しかけるのだけれど
あなたの声は
遠い海の底で鳴る音のようで
あなたの思いに
わたしを重ねることができないでいる

曖昧にうなずいて
ぼんやり微笑んでみたけれど
あなたはなんだか不機嫌な顔をして
わたしに話しかけるのをやめてしまった

(あなたが嫌いになったわけではないわよ)

そう言おうと思うのだけれど
わたしの声もなんだか曖昧になったみたいで
だから 息をするついでに
空気の中に
思いのかけらを浮かべておいた

(いそがしいのは何のため?)
という声がどこからか聞こえてくる

(わたしの歯車がうまく廻るように油をさしてみたの)
そう言ったら
空気がすうっと冷たくなった

それで 今日は
少しはあたたかくしようと思って
たくさんの時間をかき集めて待っている

たぶん 明日は
もう少し回復が見込めるかもしれないけれど
明日もいそがしくしているから

けれど少しは
上向き加減だといいけどね
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by hannah5 | 2008-06-25 23:40 | 作品(2004-2008)

雨のフルル   


足音をしのばせて
立ち去る雨の
足跡が小さく踊る

  るるるらら
  るるるらら

風に舞う風に散る
流れるように
飛ぶように

  るるりらら
  るるりらら

小刻みに抑揚震わせ
足先を揃えて降り
地を濡らし

  ふるるるる
  ふるるるる

跳ねあがり
跳ねあがり
雨に絡まり雨に落ち
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by hannah5 | 2008-06-22 23:40 | 作品(2004-2008)

流れゆくもの   


時間が上手にやり取りされることを
ずっと考えている

わたしが目覚める頃
朝はすでにわたしを待っていて
わたしの意志とは無関係にあれやこれやと指示をだす
わたしは息をするのももどかしく
朝に言われるままに立ち働く
朝に好かれているのか嫌われているのか考える暇もなく
けれど
朝に好かれていることを上目遣いに切望する

朝が終わる頃
昼はすでに食卓についていて
空腹に満ちた顔をして待っている
朝から昼へ移るほんの半時ばかりを
昼の顔色をうかがいながら
朝にはできなかった深呼吸を独り占めしてみる
わたしだけの小さな時間はうっとりと美しく
ともするとそのまま眠ってしまいそうになるのだが
空腹が激しくなってきたらしく
ごくりと生唾を飲み込む音が聴こえてくるので
わたしだけの時間の余韻をあきらめる

昼から午後の真ん中へ
もっとも活力のある
もっとも重い仕事が歩いている時
わたしが私自身の息を紡ぎだす時だ
朝の脆弱な気分はしまいこみ
ぴちぴちと音を立てて前進する細胞を
香ばしい気分で見ている
夕方までのひと時が
その日の報酬を連れてやってくる

やがて夜へ
菫色の香気が立つ
雨の日に拾った銀色のビーズをつないで作ったネックレスは
わたしがもっとも大切にしているもの
宝石箱の中で涼しい音を震わせる
繰り返し作っては
繰り返し壊し
また繰り返し作っている
朝までのひと露ほどの時間の中で
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by hannah5 | 2008-06-20 00:30 | 作品(2004-2008)

夜の微笑み   


一日が順番に送り出される
朝の世話
午前中の家事少々
正午のランチ・フェローシップ
午後の掃除又は片付け
圧縮された時間のわずかな隙間に
走り書きを差し込んでいく

用件を箇条書きにしたメモに
円滑な人間関係の存続を依頼する
  ピリオドと用件一
  ピリオドと用件二、多少の説明
  ピリオドと用件三、補足
  ピリオドと用件四
依頼を受けたメモが
ピシリピシリとツボを決めていく
じっとメモを見つめる眉間あたりが薄曇りだ
(くもりのち晴れか)

それはそうと
わたしはかなりメモを頼りにしているのだ
メモには絶大な力があると信じて
一日留守にする

メモの最後の文字が尽きる頃 帰宅

留守の間に
未整理な順番が
山のように積み上げられていた
メモが処理しきれなかった分だ

さて、これから
精一杯の仕事が始まる
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by hannah5 | 2008-06-19 22:59 | 作品(2004-2008)

  


透きとおった薄墨いろの空気

くもりガラスに入れられた月 ひとつ
かすかな甘みを残して 砕けつつ

空気の底に沁みる プラスチックの光
蒼黒い木々に浮かぶ 伏し目がちの街灯

川の流れの滴り ひっそりと独り

点線に配置した無音の灯り

まだ重さの加わらない季節
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by hannah5 | 2008-06-18 23:45 | 作品(2004-2008)

私の好きな詩・言葉(125) 「ある種類の瞳孔」 (田村 隆一)   


五感が命じるままに
どこにもない場所まで歩いて行ってみたら
いいじゃないか

どこにもない場所が
空想社会主義者の頭のなかにしかないというのは
偏見もはなはだしい

五感が命じるままに
生きてみたまえ
指は泉を探りあてる
土からエロスと灰の有機物をつくり出す
あのいかがわしい聖なる秘密を
嗅ぎつける
血の匂いのする細い線
雪の上の汚れた部分
砂の上の単純な表音文字 波に洗われて
劇的な表意文字の消えさる一瞬に
どこにもない場所が
かろうじて存在する

消え失せない足跡や言葉を
信じないほうがいい
眼に見えないものを見る
あれは撃鉄をひいたことのない
群小詩人の戯言(たわごと)だ
眼に見えないものは
存在しないのだ

五感が命じるままに
ためしに歩いて行ってごらん
針の穴のように小さくなったきみの瞳孔が
きみの沈黙をまるごと受けいれてくれる
どこにもない場所なのだ



(詩集 『新年の手紙』、『続田村隆一詩集』 所収)

ひと言
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by hannah5 | 2008-06-17 23:39 | 私の好きな詩・言葉 | Comments(0)

言葉はいつも留守がちだった     


長い長い今日があって
早く早く、
と息を詰めるようにして待っていた一日の終わりは
よれよれになった時間をポケットに押し込んで
むず痒くなり始めた思いを
どうやってやりすごそうかと
重苦しいようなやりきれないような気分でいる

人生が目を覚まし始めたころ
言葉はいつも留守がちだった
たまに帰ってきても
どう言葉に向き合ったらいいのかわからなくて
じっとうつむいたまま黙っていることが多かった

その頃から何度か地球儀をくるくる回し
回したのと同じ回数だけ
気分はもてあまし気味だった

言葉が不在の時は
夢想家も理想主義者も活動をただちに中止せよ!
と、プロパガンダを繰り返した

面白いこと/興奮すること/胸が張り裂けそうになることは
すべて言葉の外にあった
脆弱な言葉たちはひょろひょろと蒼白く
魅力に乏しく
わたしはなるべく健康でいたかったし
だからせいぜい外で遊ぶことにした

それはかなり確信に近く
今でもときどきわたしを訪れる
昔なら喜んで確信について行ったものだが
多少なりとも分別のついた今では
足腰は重く
気分もすぐれないから
まあ、いいや、
ですませてしまうことになる

端正な顔だちの言葉たち
あの頃も今も
わたしはお前たちから顔をそむけてしまう

ふしくれだった言葉たち
それ以外に何が必要だというのだろう


(6/14 一部訂正)
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by hannah5 | 2008-06-13 23:52 | 作品(2004-2008)

未完のまま   


深夜のカレー屋
六十年代のブギがぷかぷかと鍵盤を走る

目の前のバンパーのひしめき合いが
深夜の底を疾走する
人気(ひとけ)の絶えた沈黙が雄弁に語りだすのは
今頃のこんな時間
聴こえてくるのは
ここまで走ってきたということ
これからさらに走っていくということ
赤信号/大人しく徐行・整列!
青信号/ゼロコンマゼロゼロゼロイチ秒で発動!
ひと言も発しないヘッドライトの群れが
我先にと暗闇に向かってダイブインする

延々と繋がっている時速九十キロが
長い光のまつ毛を揺らしながら
信号待ちと接続不可能な未来をつまんでみせる
(そこから逃げだせ!)
なめらかに囁く運命

そういえば
この道と空がぶつかり合うあたりで
空気が漆黒の闇から海底いろへと抜け出し始めている
背後では今だに
バレンタインデーにもらったチョコレートの数の自慢や
彼女がいるのに二年間もどこかの女と付き合った話が続いている

白々と闇が伸ばされていく

区切りのつけられない時間のどこで
踏ん切りをつけて切り上げるか、だ

疾走するヘッドライト

実に未完
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by hannah5 | 2008-06-10 23:34 | 作品(2004-2008)