<   2008年 08月 ( 9 )   > この月の画像一覧   

アドレッセンス 5   


               裸でいることと失うことが
               わたしだった日の
               あからさまな呼吸は紅く
               どこへ向かっていたのか


腫れぼったい咽喉を振り絞って
どうどうと思いつめる針先が
胸をちくちく突き刺し
生きている意味なんかをしらべてみる

このまま歩いていけばきっといつか本流に出遭うかもしれないし
そうすれば飛び込むことも可能なんだと
得体の知れない不安材料を抹消するほどのショーライを思っている

酸欠状態の呼吸を繰り返し
中心で必ず突き抜けるはずなんだけどと勘をたぐり寄せて
もう少し
もう少し
そこにあるそれ、
それを越えるまではもう少し
ひたすら心拍数が充血していく

   (註)中心とは:-
      たとえば桃には中心線が走っていて
      中心線を見極めて彫っていくと
      彫刻にバランスが出てくるような
      要するに中心があるから
      そのまわりを覆っているものは
      収まりよく定位置につけるというもの

それを目ざして
わたしは日夜遠吠えのように呼びつづけている

あなたは素敵すぎて
愛するよりもちゃっかりとうなずいて
ふらら、
添い寝したくなるほどそのものなんですね
くるくるとかきまわしているから
こんなにも生っぽくて
こんなにも見せかけだらけで
嘘つきで
いやらしいんですよ

あなたとわたしは
言ってみれば
親指と人差し指みたいなカンケイです
今日は寝入ったばかりのアイツを
吹き飛ばしてやりました 
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by hannah5 | 2008-08-30 23:21 | 作品(2004-2008)

風に流れて   


くずれてしまうほどの儚さに見舞われていたのは
わたしが二十代だったからだろうか

必死になって生きることも
白けてしまうことも
傷つきながら歩くことも
それらのどれもが
どこまで行ってもたどり着けない混沌としたほら穴のようで
何一つつかまえられずにもがき

感じていたのは
今ここには何もないということだった

友人たちが大学を卒業し
それなりの企業に就職し
やがて結婚して
人生を着々と築いていっている中で
それらのどれもがわたしにとっては
指の間からさらさらとこぼれて
散っていく砂に似て

一つ所にとどまることは
もろもろと崩れていく砂山の上に立つようなものだった

世界のどこかには
混沌としたほら穴ではない
足元がすくわれて崩れていく砂山のようなものではない
固い何かがきっとあるはずだと
直感のような本能のような思いで
かなり遠くの
人が簡単には行けない所へ一歩を踏み出し
そのまま地球を何周かまわったのだった

風が吹いていたからそのまま流れて
握っていたものは一つずつ
やがてすべて風に流されていくようで
手の中にはもう何も残っていないと思い始めたころ
ようやく何かにぶつかった気がした

あれから
少し時間がたったのだけれど
何かをつかもうと
見えない人生の中でもがいている二十代の人に会うと
いやでもあの時の砂を噛むような
空しい痛みがよみがえってくる

あの時
好きだった人も
大切だった家族も
わたしのことを思ってくれた友人も
何もかも振り捨てて出ていった砂のような空しさは
二十代という若かった時間を振り返れば
今でも
風の中にひっそりと佇んでいる
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by hannah5 | 2008-08-28 17:34 | 作品(2004-2008)

村ぐらし   


空のてっぺんで
鳥が鳴く
雨のあがった空の中から
しみわたるように鳴く

その瞬間
地上の汚れた争い事も
脂にまみれた疲労も
出口の見えない苦しみも
すべて小さく丸まって
落ちていった

空を渡り
空に舞い
空を啄み
空で休む
小さな鳥よ

インターネットも宇宙開発も
内視鏡もコンピュータも
ハイテクも光ファイバーも
私たち人間の便利のいっさいを知らずに
大昔からずっと変わることなく
同じ音色で鳴き続けてきた鳥よ

私たちがお互いの競争に一喜一憂している間に
おまえたちは夜が白むころ起きだし
澄んだ声を響かせ
晴れた日には空から空へと移動し
雨が降れば木々の間で翼を休め
日暮れとともにねぐらに帰り
巣にこもり
ひなを育て
雨あがりの日には
今日と同じように
空の青さを染めて鳴く

私たちが進化と呼んで享受してきたものは
地上で小さくなってうごめいているね


(原村にて)
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by hannah5 | 2008-08-25 12:46 | 投稿・同人誌など

夏休みのお知らせ   


いつも詩織ご訪問ありがとうございます。
先週から少々忙しくなり、詩作がなかなかできない状態にあります。
今週はこれから夏休みを取りますので、詩織は引き続き休ませていただきます。
この次の更新は来週月曜日を予定しています。
(その間何か書けたら、更新しますね。)

まだまだ暑い日が続いております。
皆様も暑さにバテてしまわないようにご自愛くださいね。
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by hannah5 | 2008-08-18 15:02 | ご挨拶 | Comments(6)

私の好きな詩・言葉(126) 「愛」 (高階 杞一)   





こどもがはじめて笑った日
ぼくの暗がりに
ひとすじの強いひかりがさしこんだ
生まれてはじめて見るような
澄んだあかるいひかり
その時
ぼくの手の中で

という形のないものが
はじめて<愛>という形になった

そして
ぼくの<愛>はまだ病んでいる
病院の小さなベッドで
「苦しい」とか「痛い」とか
そんな簡単な言葉さえ
いまだ知らずに


                        (『高階杞一詩集』『早く家へ帰りたい』より)

ひと言
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by hannah5 | 2008-08-14 18:50 | 私の好きな詩・言葉 | Comments(0)

天才的な出遭い   


なめくじに塩をかける
太い体をくねらせて
じゅわじゅわと溶けていく
しゅうううっ
と触角が伸びてきた頭の先に
もうひとつまみ
塩をかける
しゅっと触角がひっこんで
丸くなった頭の先が
じゅわりと溶けていく
じゅわじゅわ
じゅわじゅわ
と溶けて
やがてなめくじは動かなくなった

翌日見にいくと
心棒だけになったなめくじが
塩の山の中にころがっていた
固い心棒
中心の核
大方の体が溶けてしまっても
中心だけは残っていて
なめくじだと言っている

詩を読んでいて
中心の心棒だけになった
なめくじのことを思った
太い体が
じゅわじゅわと溶けていって
心棒だけになった言葉を
見つける

酔いしれて
狂喜するよ
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by hannah5 | 2008-08-12 22:05 | 作品(2004-2008)

浮かぶ   


ま昼の
きりきりと絞りあげるような時間の中に
ひとり ぽつんと漂う

たどりつけない時間の長さと
つかまるもののない大海で
腕を伸ばしもがいて
波をかき寄せ

人の影すら見えない海で
息継ぎのためにあげた顎は
力を失い
波間に沈みそうになる

  たすけて

息の間からようやく絞りだした声が
波に呑まれて
あ、と思う間もなく
心臓に息が逆流する

  たすけて

声にならない叫びが
頭の中を螺旋階段のように
ぐるぐる落ちていく

ふいにできた立ち泳ぎは
こういう時かなり有効で
それだけでしばらくやってゆける

ふ、
とあげた顔に
自己憐憫が深刻な面持ちで覗きこんだ

がんばれ!
というのはもう死語になっているほど
あるいは
わたしの耳には遠くて聴こえない

余談ですが。。。
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by hannah5 | 2008-08-08 23:43 | 作品(2004-2008)

感謝!   


いつも詩織を見てくださってありがとうございます。
さきほど77000アクセスになりました。
ブログでの詩のパフォーマンスには限界がありますが、
これからもいろいろな方面から詩を見つめていきたいと思います。

まだまだ暑い日が続きます。
暑さに負けてしまわないよう、
睡眠と栄養と水分を充分に摂られてご自愛ください。

はんな
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by hannah5 | 2008-08-06 12:42 | ご挨拶 | Comments(6)

暑中お見舞い申し上げます   


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今年の東京の夏は割合湿度が低く、去年よりしのぎやすく感じられますが、
皆様の所はいかがでしょうか。

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先月初め、真夜中に起きてパソコンをいじっていたら、
庭の琵琶の木のあたりで琵琶の実がぽとり、ぽとりと落ちる音がしました。
何だろうと思って懐中電灯を向けてみると、
猫ほどの大きさの見たことのない動物が琵琶の枝にあがっていました。
インターネットで調べてみたら、ハクビシン(白鼻芯)という動物らしいことがわかりました。
ハクビシンは食肉目、ジャコウネコ科で、
人命にかかわる病原菌を持っているため害獣に指定されていました。
食物は果物で、最近は果樹園を荒らす被害が出ているそうです。
ふだんは森林の樹上に巣を作って住んでいますが、
寺や民家の屋根裏などにも巣を作り、最近では関東でも数が増えてきているそうです。
翌日も出てこないかと期待して待っていたのですが、
ハクビシンを見たのはその夜だけでした。

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暑い夏を迎えていらっしゃる地域の方は、熱中症にならないように
水分補給を充分されて、ご自愛くださいね。



はんな
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by hannah5 | 2008-08-02 23:44 | ご挨拶 | Comments(4)