<   2008年 10月 ( 8 )   > この月の画像一覧   

空をこぼしてしまわないように   


空をこぼしてしまわないように
見上げて
止める

藍いろが空一面に広がっていて
今にもこぼれそうだから
受け取らないように目を伏せる
大きな藍いろの片隅に
薄青い星がひとつぶ落ちていて
遠慮がちに小さくなっている
今にも消えそうだ


(いつかこの空にも)
(終わりがあるかもしれない)


細い枝の先に枯れ葉が
今にも切れそうにぶらさがっていて
藍いろが枯れ葉に引っかかっている
風に揺られれば
藍いろははがれて
するするとすべり落ちてしまうだろう

コンクリートのビルが
藍いろの中でシルエットをつくっている


包みこむように笑っている目の中で
ずっと遊んでいるつもりだった
終わりのことを考えるより
いつまでも甘えていたかったのだ
[PR]

by hannah5 | 2008-10-31 23:14 | 作品(2004-2008)

消えてゆく中心   


一本の杭が抜けてしまった
真ん中の一番大事だったやつ
それがあるから
大小とりどりのファイルが
それぞれの場におさまって
それぞれに機能していた
けれど一本抜けてしまったら
立ち上がってはシャットダウン
立ち上がってはシャットダウン
キチガイピエロみたいに
いつまでもくるくる回る

あなたの中心にささっていた一本の杭が
くるっと抜けてしまって
それ以来あなたは
重力をもたない空気みたいに
宙に浮き
均衡を失って
たて横うえ下ななめ上ななめ下
ふわふわの足元のまま
きのうときょうとあしたの境目を踏みまちがえて
くるくるくるくるくるくる
あなたが抱えていたいとしさが
言葉にならないほどの不安と哀しみをかき混ぜて
ころがりつづける
泣かない涙があふれつづけた夕べは
手を伸ばしても伸ばしても
手のひらに落ちてきたのは
底なしの夜
立ち上がってはシャットダウンをしては
立ち上がってはシャットダウンをしては
立ち上がってはシャットダウンをしては
立ち上がってはシャットダウンをしては
立ち上がってはシャットダウンをしては

More
[PR]

by hannah5 | 2008-10-28 23:19 | 作品(2004-2008)

夜の底   


ガラスの破片が
散乱していく
方向を見失ったまま
無数の破片が
きらきらと光って落ちていく
紅いちょうちょ
お花畑に水をまく
黒光りするゴキブリ
荒れたシーツ
一枚ずつ剥ぎ取られていく
  今
    きのう
 おととい

歯ぎしりをしても止まらない
底なしの夜
見えない夜をこすり
毛布が重くなるころ
波が揺れながら沈んでいく
焦点の定まらないきょうの中で
きのうが生まれ
鮮烈なやさしさで呼びかける
きのうを千切り
おとといを取り出し
きょうとあしたに貼りつける

握りしめていたものは
手の中で
いつのまにか割れていた

コメントの返事が遅くなってすみません。
[PR]

by hannah5 | 2008-10-26 23:13 | 作品(2004-2008)

秋の掲示板   


秋の掲示板を用意しました。

忙しくしている間にも季節はどんどん移り変わり、街の中が秋一色に衣替えを始めました。
今年はうちの庭の柿の木にもたくさん柿が実って、少しずつ色づいてきています。

コメントや伝言、その他思いついたことなどありましたら、書いてくださいませ。

いつも詩織を見てくださってありがとう。

b0000924_13271.gif


はんな
[PR]

by hannah5 | 2008-10-17 23:31 | 伝言どうぞ♪ | Comments(12)

半分の自由   


言葉を作らない世界があって
人々はそこで
生まれて
動いて
肉を耕し
乾からびた雨を降らせ
神妙な面持で空を見上げ
空腹をよろこび
見えない糸を引き
   たぐり寄せ
一瞬たちをひとつずつつまみあげては
過去に積みあげていく
積みあげられた一瞬たちは
じっとしていることができなくて
我先にと逃げだす
そのころ
過去はオープンエンドになっている

空腹が満たされないまま
深呼吸をして外へ出てみる
すると案外
そこには自由があったり
力があったり
優しさが満ちていたりするから
慰められる気分になったりする

言葉を作らない世界で
悲しみが流れていく
いとしさが溢れてくる
思いがひび割れて
世界の端から落っこちてしまう
               しまわない
[PR]

by hannah5 | 2008-10-16 23:17 | 作品(2004-2008)

泣く   


わたしの中で流れている水が
風にあおられ
わあっと向きを変えて流れようとする
同じ方向に流れていた水は
風に乗りそこなって立ち往生し
山を作り
谷を作り
風が山と谷との間にくるくると輪を描く
水は方向を失ってばらばらになり
混乱し
どこにも行けなくなる
泡がふつふつと沸いてくる
鋭利な刃のような痛みが
突然、暴れだし
何かが切り開かれる音がして
空気が鮮烈な血のいろに染まる
風が流れを変える
水がさらに混乱する
急激に下降する音がして
水と風が谷に向かって一気に落ちていく
谷の底に向かって下降を続ける
紅い空気がさらに広がり
あたり一面が真っ赤に染まる

おひさしぶりです
[PR]

by hannah5 | 2008-10-10 16:38 | 作品(2004-2008)

更新のお休みのお知らせ   


いつも詩織を見てくださってありがとうございます。

コンピューターのトラブルのため、しばらく更新をお休みいたします。コンピューターが復旧しましたら再開しますので、そのときまたおつき合いください。


はんな
[PR]

by hannah5 | 2008-10-04 21:30 | ご挨拶 | Comments(2)

殿上の御遊恋ひしく   


b0000924_2571283.jpg


              ゆうべ遅くなってから
              しずかな雨の中を歩きました
              雨はたしかに降っているのに
              降っていることを感じさせないほど
              しずかで細い雨でした
              小さな垣根の葉の上に
              線のように落ちてくる雨は
              街灯に照らされて
              時折、銀色の蜘蛛の糸のように光りました

              深くなる夜の底で
              雨に濡れた舗道はじっと黙っていましたが
              ブーツの中の足がなんだかとても軽くなって
              どこまでもすいすいと歩きました
              いつもより早く眠気が訪れましたが
              心の隅の方に小さな灯りがぽっとともったようで
              切ないようなしあわせなような
              不思議に満ちた気分になって
              それから街をひとまわりして
              ゆっくりと家に帰りました

              きょう、紫式部のきれいな一筆箋を見ていて
              ゆうべ見た小さな灯りを思いました
[PR]

by hannah5 | 2008-10-01 01:03 | 作品(2004-2008)