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詩と思想   


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詩と思想8月号に私の作品「夜の間に機を織る」が入選しました(海埜今日子選)。
でも、残念なことに投稿する時に変換ミスをしてしまい
「夜の間に旗を織る」というなんだか応援団長みたいな題名になってしまいました。
入選が嬉しかったのに、ホント残念です。

それはさておき、8月号の詩と思想は同人誌特集でなかなか興味深いです。
特集「同人誌の現在」と題した座談会では、荒川純子さん、光富いくやさん、
森川雅美さん、和合亮一さんの4氏が同人誌について、
それぞれの立場や経験から内容の濃いお話をされているし、
同人誌紹介も各誌半ページずつ割いて丁寧に紹介されています。
どんな同人誌なのかなぁといつも思っていた同人誌がいくつかあったので、
ふむふむと思って読んでいます。
興味のある方はぜひ詩と思想の8月号を手に取ってみてください。
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by hannah5 | 2009-07-30 00:24 | 投稿・同人誌など | Comments(0)

「詩と思想」 Poetry Session 2009 Summer -吉増剛造氏を迎えて-   


夕べは詩と思想(詩と思想編集委員会/土曜美術社出版販売)が主催する「Poetry Session 2009 Summer」に行っていました。会場は東京神楽坂の赤城生涯学習館。午後6時半~8時45分。


«Programme»

第一部・「地名のついた詩」 自作朗読
      高岡力 中井ひさ子 長居煎 長谷川忍 りょう城

第二部・地名/地震・・・「下北沢」をめぐって
      吉増剛造 インタビュアー:一色真理
    ※「詩と思想」10月号・作品特集<地名のついた詩>巻頭のための公開インタビュー

・司会 伊藤浩子
(敬称略)

                      *****

6時すぎまで他所で用事があり、会場に着いたのは一部を終わった直後の休憩に入った時間でした。そのようなわけで、今旬を迎えている詩人さんたちの朗読を聴けなかったのは残念でした。

吉増剛造さんはいつお見かけしても新しい部分を見せてくださって、それはちょうど伸びていく枝の先を切り続けては新しいいのちを発見していくような感じです。個人的には吉増剛造さんの作品に感銘をしたことはなかったのですが、夕べは吉増ワールドが炸裂した感じで、柔らかい頭をもつ人というのは、地名なり人なり、目の前の事象を新しく生れてくる脳細胞を通して見るようだと思いました。

詩と思想の10月号に吉増剛造さんのインタビューの記事が出るそうなので、楽しみにしています。
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by hannah5 | 2009-07-27 13:53 | 詩のイベント | Comments(0)

かがり火   


その小さな清潔な
アイロンがけしたばかりのシャツの
雨あがりの空気

胸のほら穴に
何の予兆もなく落ちてきた
無機質のかすかなぬくもり
伏し目がちに土を湿らせ押しあげる
小さなふくらみ

胸の中で
うつむいたままマッチをする
誰も見ていない昼下がり
火がシュッと立ち上がり
うすずみいろの煙が
空気を染めて
消えた

ほら穴に
かがり火が
灯る


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by hannah5 | 2009-07-22 23:53 | 作品(2009~)

夏の伝言板です   


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私は花火大会を毎夏、とても楽しみにしています。
菊とかしだれ柳などの伝統的な花火の他にいろいろな変わり花火があって、
一時夏の暑さを忘れさせてくれますね。
今年の世田谷区たまがわ花火大会は8月22日です。
今年はどんな花火が見られるかな。

皆さまの所の花火大会はどんなでしょうか。

いつも詩織を覗いてくださってありがとうございます。
コメント、伝言等にお使いください。
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by hannah5 | 2009-07-19 23:42 | 伝言どうぞ♪ | Comments(11)

私の好きな詩・言葉(134) 「プロポーズ。」 (りす)   


プロポーズ。


歩道橋が長すぎるので途中で諦めて、壊れた洗濯機の話をする。眼下を灯りのない貨物列車がいつまでも通り過ぎて行く。君は厚い眼鏡をハンカチで拭きながら熱心に相槌を打ってくれる。君の相槌の品揃えは、帝国ホテルのコンシェルジュみたいに完璧だ。僕の言葉は砂漠に降る雨のように、君の相槌に吸収されてしまう。だから僕は君の体内のどこかに、僕の名前を冠した瑞々しいオアシスがあるんじゃないかと常々思っているんだ。それにしても、今日に限ってどうも会話が食い違う。どうやら、僕は二槽式洗濯機について話しているのに、君の頭には全自動洗濯機しか浮かんでいないようなのだ。脱水槽が回転しない、という状況を理解させるのに、貨物列車が五本も通過していった。でもこの程度の食い違いは、君が眉間に皺を寄せて器量を損なうほど、深刻なことではないんだ。マーガリンとバターのように、片方を知らなければ、どっちがどっちでもいいような代物だ。そんな些細な錯誤はこの、長すぎる歩道橋に比べればたいした問題ではない。シェイプアップしたいの、と君が言うから、わざわざ歩道橋なんて前近代的な迂回路を選んだのはいいが、どうにも階段の数が多すぎはしないか。歩道橋の途中に自販機を置けばいいのに、という君の本末転倒な提案にも、そこそこの市場価値はあると思うよ。だけど、最初から踏切を渡れば良かった、なんて愚痴を言うつもりはない。君を見習って、これからは提案型の人生を送ろうと思ってるんだ。君は今、二槽式洗濯機の説明を求めている。説明なんて回りくどいことはやめにして、この際、結婚しようじゃないか。結婚して僕の洗濯機で、君が自分の下着を洗ってみれば、すべては一瞬に了解されるんじゃないか?だからさ、結婚しよう。僕が二槽式洗濯機の柔軟な使い勝手についてくどくど説明すれば、へえ、とか、ふーん、とか、むむむ、とか、君の相槌の訓練にはなるかもしれないが、最近わざわざ全自動洗濯機から二槽式洗濯機に買い換えた、うちの母親の気持ちは一生理解できないだろう。いや別に母親と同居してほしいと言ってるわけじゃないし、安易な文明化に警鐘を鳴らしているわけでもない。ましてや、洗濯と選択の掛詞で恋のボディーブローを狙ってる訳でもない。文明化、大いに結構。スローライフ、断固反対。ところで最近、やけに貨物列車が増えたと思わないか?気のせいなんかじゃなくて、実際に増えてるんだよ。この理由をくどくど説明すると、君のオアシスが溢れてしまうから止めておくけど、ほら、あそこに見えるのが越谷ターミナルだよ。あそこは、たくさんのコンテナがお迎えを待っている幼稚園みたいな所だ。そんな切ない場所だから、人目につかない田舎に貨物ターミナルはあるんだ。結局、僕が言いたいのは、この際、君の心を脱水槽に放り込んでしまったらいい、ってことなんだ。いつまで君は洗濯槽の中でぐるぐる回ってるんだ、ってことなんだ。そういえばこの間、眼鏡を縁なしに変えようか、なんて悩んでたよね。そんなの結婚しちゃえば、すぐ解決することだよ。ウェディングドレスに眼鏡は似合わないから、コンタクトにするしかないだろう?だから二人で二槽式洗濯機のある生活をしてみようじゃないか。踏切より歩道橋を選んでしまう君は、きっとすぐに気に入ると思うよ。でも、さっきも話したように、肝心の脱水槽が壊れているんだ。だから今しばらくは、君の体内のオアシスが枯れてしまわないように、遠回りするデートをこのまま、続けていくしかないと思ってるんだよ。


( 『文学極道』 所収、文学極道2006年創造大賞受賞)

ひと言
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by hannah5 | 2009-07-17 23:29 | 私の好きな詩・言葉 | Comments(0)

どうかやさしくならないで   


対等に向き合っている夜の中で
垂直に背筋を伸ばして思う

落ち窪んだ唇を真一文字に結び
あらゆる細胞を一つ残らず引き抜いて
それでも不足した分を
ざりざりとこそげ落とす

かつて斜めに歪んでいた
かつてだらりとたわんでいた

矮小に貶められた呼吸を
画用紙に貼り付けたまま
永遠に彷徨うことが
元からの約束事でもあったかのように

わたしを知っているものと
わたしを知らないものとが
凹凸を乗り越え
カシャカシャと相性を決めていく
うまく収まって
平たくなった表面をこすりこすり
やっと立ち上がる気配がする

どうかやさしくならないで




(旋律23号)
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by hannah5 | 2009-07-14 14:01 | 投稿・同人誌など

体内リズム   


眠りかけていた時間が急に目を覚まし
次第に目を見開き凝視している
細胞が総毛だった
背中と脇の下がじりじりと熱くなってくる
胸の奥がりんりんと鳴っている

(この音をどこで聴いたか)

                       それは
空気が凍りついたまま
冬が街の上に羽を広げていたある朝
一瞬、春の匂いが
鼻先をかすめて消えてゆくときに
聴いたような気がする

                      あるいは
あの人が我を忘れて
仕事に没頭していた横顔は美しく
あの時たしかにひときわ大きく
りんりん、
と鳴ったのを聴いた

                    あるいはまた
緑の中で立ちのぼり
緑の風を呼び起こし
気まぐれに木膚を撫でては立ち去る風の中に
両腕に抱えきれないほどの優しさがあって
いのちが蒼々と染められていった日
聴いていたのだと思う

                       しかし
それらがどれほど胸を突き
どれほど胸倉を抉ろうとも
それらを一瞬のうちに消してしまう音がある
からだのもっとも深いところに記憶されている
幼児体験より古く
わたしが母親の体内の奥深くで仕組まれたときに
密かに埋めこまれた音
鼓膜では掬えない音だ

わたしが生まれる前から聴いていた音
言葉という


(旋律23号)
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by hannah5 | 2009-07-14 14:00 | 投稿・同人誌など

集約   


それぞれはそれぞれの場所に集まりそれぞれの時間に棲む
それぞれはそれぞれの方角に現れそれぞれの方角へ消える
それぞれはそれぞれの長さを測りそれぞれの重みを計る
それぞれはそれぞれの歩調を歩きそれぞれの速度を走る
それぞれはそれぞれの思いを見つめそれぞれの視線を思う
それぞれはそれぞれの思惑を携えそれぞれの思考を伴う
それぞれはそれぞれの印象を掬いそれぞれの忘却を拾う
それぞれはそれぞれの思い出を並べそれぞれの面影を啄む
それぞれはそれぞれの哀しみを恥じらいそれぞれの孤独を囁く
それぞれはそれぞれの深遠を尋ねそれぞれの摂理を語る
それぞれはそれぞれの季節を抱き寄せそれぞれの時間を生み出す
それぞれはそれぞれの空気を整えそれぞれの音声を発する
それぞれはそれぞれのゆがみを軋ませそれぞれのもつれを響かせる
それぞれはそれぞれの揺れを抱きしめそれぞれの震えを飲みこむ

それぞれに込めたそれぞれをそれぞれに差し出しそれぞれに受け取り
それぞれはそれぞれにやってきてそれぞれに置いていき
それぞれはそれぞれに似てそれぞれはそれぞれ違い
それぞれはそれぞれに問いそれぞれに名付け
それぞれはそれぞれに送りそれぞれに届け
それぞれはそれぞれ思うそれぞれのこと

それぞれがりんりん鳴らし
それぞれがりんりん灯す


(新現代詩7月号)
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by hannah5 | 2009-07-14 13:58 | 投稿・同人誌など

TOKYOポエケット   


今日は午後からTOKYOポエケットでした。会場は去年と同じ両国の江戸東京博物館。62グループが参加しました。

私はみつとみさんの狼編集室のテーブルをお手伝いしながら、私が参加させていただいている同人誌「旋律」と「新現代詩」も横に並べさせていただきました。3年前に初めてTOKYOポエケットを見に行った時にはマニアックだなあという印象が強かったのですが、そのポエケットに自分がお手伝いしながら参加するようになるとは思ってもみませんでした。縁って不思議なものですね。

午後1時に会場に集合。会議用に並んでいるテーブルや椅子を脇に寄せたり中央に集めたりしてブースの形に設置しました。1時30分に開場となり、久しぶりに会ってご挨拶したり、お互いのブースを覗きあったり、お目当ての詩集や詩誌を買ったり交換したり、会場は一気に盛り上がりました。

今年は例年より売れ始めるのが遅かったようですが、午後遅くなってから会場に来られた方がけっこうあって、みつとみさんの詩集 『バードシリーズ』 や同人誌 「狼」(13、15、16号)は完売しました。静かで熱いみつとみファンがそっと訪れて、みつとみさんの詩を大事そうに買っていかれました。

午後3時30分から3時50分まではTOLTAのゲストリーディング、5時30分から5時45分までは新井高子さんのゲストリーディングが入りました。私自身はどちらかというと新井高子さんの朗読がよかったと思いました。

私が購入したのは川口晴美さんの 『ガールフレンド』、三角みづ紀さんの 『すんとする』 とポストカードでした。また、月刊未詳24の只野凡人さんから「未詳02」、「北国帯」、「月の魔法師」、「カラブラン」を、狼ブースの隣でブースを開いていた白井明大さんから個人詩誌「ここえ」をいただきました。ありがとうございました。

詩を愛する人たちの集まりは優しくて静かだけれど、地熱のようにいつまでも熱い。一人一人から熱気をもらい、これからも私なりに詩を書き続けていこう。そんな思いを新たにして会場をあとにしました。
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by hannah5 | 2009-07-12 23:50 | 詩のイベント | Comments(8)

爆弾   


涙という
破裂しそうな爆弾を
抱えて歩く
歩く

爆弾は
破裂しそうに膨らんで
雨の中を歩く
歩く

切り傷を
しゅっしゅっとつける爆弾に
小さくつけて歩く
歩く

雨脚が
舗道に落ちてもつれるように
トゥララと歩く
歩く

躍る雨
跳ねて飛び飛んでは跳ねて
トゥララと落ちる
落ちる

歩くたび
こぼれて落ちる爆弾が
ひとつずつ
ひとつずつ



※未発表の詩をたまにはここに。
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by hannah5 | 2009-07-10 23:57 | 作品(2009~)