<   2009年 12月 ( 15 )   > この月の画像一覧   

灰いろの朝   


小さな肩をすくめてじっと視る先に
雨だれが灰いろの朝の
ベランダに落ちつづける

風に舞う木の葉に見とれて
思わず背伸びしたまま飛びだしそうになる
心臓の鼓動がとくとくとくとく
と打ちはじめるから

茂った葉と葉の間に見え隠れするメジロに
やわらかな毛皮が小刻みに地団駄を踏む
網戸のこちら側

抱きあげれば簡単に離れてしまう
足元の薄い響き
二キロにも満たない小さな体を放りあげると
そのまま粉々に砕けて
霧のように消えてしまいそうだ

階段の一番上から遠慮がちに下を見る
一段、一段、一段、
考えながら降りてくる
流しで水仕事をしている私のうしろにそっと近寄り
ひと呼吸置いて
坐る

捨てられるはずだった
そのまま箱に入れられて
私の足元に流れついた

やわらかな前足が
私の足にぽぽぽと触れる

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by hannah5 | 2009-12-29 20:41 | 作品(2009~)

噛みしめる季節   


この夏の
不穏な何物かに脅かされて
細々とした気分で暮らしていたから
風に当たってこようと
山里のぬるい空気の中を歩きつづける

ぷっくりとふくらみ始めた稲穂の
健康な重さを計り
子どもの頃 遊びに行った田舎の
蒼々とした稲田の畦道を
歩きまわった懐かしさがちくりと刺さった

白土の歩道が直線に続き
左に折れ斜めにカーブし
道に沿って流れる小川は
もしかしたら叔父の家の裏手から
ずっと流れてきたのかもしれない

その先に現れた土壁の土蔵が
しまいこんでいた少女の気分を
忠実になぞって
風の中に消えていった

少しずつ勾配を増していく山道を
見上げる足元が蒸れて
汗ばんだ風が立ち止まる

漬物屋の軒先に
苔みどりいろの水が流れ
小さな籠に並べられた漬物の
おふくろの味を土産に買う

時間が間延びしている

その瞬間
歩き廻ることが噛みしめるように面白かったあの頃が
ふいに表れ
わたしは正常な季節の中に立っていた

※京都大原にて


(旋律24号掲載)
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by hannah5 | 2009-12-28 23:01 | 投稿・同人誌など

Merry Christmas   


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                       見よ、東方で見た星が彼らを先導し、
                     ついに幼子のおられる所まで進んで行き、
                            その上にとどまった。
                     その星を見て、彼らはこの上もなく喜んだ。
                           そしてその家にはいって、
                        母マリヤとともにおられる幼子を見、
                             ひれ伏して拝んだ。
                              (マタイ2:9-11)


                     皆様の上に幸いなクリスマスが訪れますように
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by hannah5 | 2009-12-24 01:40 | ご挨拶 | Comments(0)

私の好きな詩・言葉(138) 「いまだ咲かない零度の種子」 (松尾 真由美)   


いまだ咲かない零度の種子


稚拙な覆いがきえる
追放の春
もうひとつの
痛点へと
地下に蠢く
純化の根を指し
にぶい彩度の
影が膨らむ

あるいは可動性の溝をひっかき緩やかな円環の変質をくだっていく

うすく
枠組みをくずし
つよい風の音にそって
彼方のあざやかな輝度を想う
色褪せていくこの磁場の
親密な腐蝕をたぐり
ながれる時間の
無為の束縛に慄く
僅かな差異がもたらす
不完全な擦過の反映
いつも折れまがった侵食の形で
介入する寒気に応じ
いかがわしい露呈に赴き
そうして砦の細部から武装を始め
私は蛹の身振りでゆらめく
熱い硬直がひろがる胸元をあなたにさらし
半眼にちぎれた向こう岸には
たしかにささやかな谺を充たすやさしい内部があって
裏付けのない杭を穿ちあなたの晴れやかな鉱脈へと歩んでいく
しろい画布のような鉱床に横たわり
あなたの触覚の損傷にもぐりこみ
あわい余剰のなかでいっそう淫らに手足を伸ばす
剥脱された夢想を取りもどすため私たちは柔らかく重なる
重なり後退し血腥い訂正をくりかえし
なお恋慕をつづける闇の未知なる発情を
ひたすらあなたに渡していく
遠い魅惑の密度をさぐり
遥かな稜線にためらうほど
おろかしく
届かぬところまで
裸体のまま漂う

せめて
あたたかい檻を作り
あなたを閉じこめ
私を眺める
いや
私を閉じこめ
あなたの瞳に
抗うのだ

果てない誘惑だけに感応し
至近の距離を計れない
その曖昧な陥没
あらわな落度
きっと
狭窄する往還は
これらの澱みを湛えた川となり
私たちをめぐっている
幾多の小さな亡骸が浮かぶ
かなしい
跛行に
すでに存在した
剥離の渦をただし
いつまでも慣れない
屈折の素描に眩む

だからこそ奔放に抱きあい出口のない未完の消滅をもとめる

辺境のあらあらしい焦慮において
はかない充溢の気配を孕む
あなたと私は誰と誰?
交互に渇きを癒したあと
たがいの脆さを貫き
やがてつまずく
極を引摺り
さらに仮象の
淵に
溺れる

(松尾真由美詩集 『密約―オブリガート』 より)

ひと言
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by hannah5 | 2009-12-22 20:40 | 私の好きな詩・言葉 | Comments(0)

zzz   


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はい、ねこののびまくりであります。
こたつの中はチョー天国であります。
ねこでも大の字で寝るのであります。
(こたつの中の寝姿を覗いてみました。)


追記。
12/19の体重は2.44kg。
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by hannah5 | 2009-12-22 19:42 | 猫かわいがり | Comments(0)

旋律   


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旋律24号が出ました。
拙作2篇参加しました。
志久さんの表紙、以前よりずっと自由になった感じがします。
志久さんの内部で何か解放があったのかもしれませんね。

今回の招待は三角みづ紀さんです。
新鮮な何かがシュンと湧きたつ作品です。
消えてしまわないうちにつかまなくっちゃ。
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by hannah5 | 2009-12-19 15:25 | 投稿・同人誌など | Comments(0)

日本の詩を読む 4   


12月18日(金)は「日本の詩を読む」の最終回でした。場所は東京池袋の淑徳大学サテライトキャンパス。谷川俊太郎さんの作品を読みました。野村喜和夫さんらしい選択だと思う作品を5篇読みました(『六十二のソネット』から4篇、「タラマイカ偽書残闕」全篇)。

谷川俊太郎さんは私が詩を書き始めた時にわりと影響を受けた詩人ですが、興味の赴くままに読んできて谷川詩論のような体系だったものはあえて飛ばしてきました。野村さんの講義は体系的な形を与えてくれるもので、なるほどと思わせられる点がいくつかありました。その中で印象に残ったのは「いまここに在ることの無根拠性」ということです。これは谷川さんの生き方や作品に一貫して言えることかもしれません。

講義の後は近くの手打ちそばのお店でおいしいものをいただきながら、面白い話に舌鼓を打ちました。『街の衣の一枚したの虹は蛇だ』がどうしてああなのか、ここでは書けませんが、以外なバックグラウンドをもつ作品だということを内緒で教えてもらいました。

来年また淑徳大学で同じような詩の講義をされるそうです(違う詩人の作品を読む)。楽しみです。

野村喜和夫さんのプロフィール
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by hannah5 | 2009-12-19 15:20 | 詩のイベント | Comments(0)

Susan Boyle (スーザン・ボイル)   


Susan Boye

イギリスに "Britains Got Talent" という番組があって、さしずめ日本で言うと何でしょうね。歌手になりたい人の才能発掘登竜門みたいな番組なのですが(日本でもありましたが、番組名を忘れてしまいました。覚えている方があったら教えてください)、昨年それに出演したある中年の女性がその才能を認められて、歌手としてデビューすることになりました。名前はスーザン・ボイル。"Britains Got Talent" に出た時の年齢は47歳。歌手としてデビューするには年齢がいぎすぎていて、"Britains Got Talent" の映像をご覧になればおわかりになるかと思いますが、審査員も聴衆もスーザンがすばらしい歌を聴かせるだろうとは信じていませんでした。それどころか、このちょっと太った田舎くさいおばさんをみんながバカにしてブーイングまで飛び出す始末。ところが、いったん彼女が歌い始めると、美しい声が会場いっぱいに広がって聴衆はぽかーんと口をあけたまま、プロ顔負けの声に圧倒されてしまいました。スーザンが歌い終わる頃には審査員も聴衆も総立ちで拍手を送りました。一人座ったまま拍手もしていないが意地悪な審査で有名なサイモン(スーザンにいろいろ質問している審査員)ですが、そのサイモンさえもスーザンの才能には big Yes! だったのです。

日本でもようやくスーザン・ボイルのCDが発売になったようです。タイトルはスーザンが "Britains Got Talent" で歌った曲、"I Dreamed A Dream" です。私自身も早速Amazonで注文しました。(現在、コンテスト当時のYou Tube の画像は埋め込み禁止になっているため、URLしか貼れませんが、それでお楽しみください。)

こういうのを見ると、才能の開花は年齢には関係ないと思わされて、勇気が出ますね。
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by hannah5 | 2009-12-14 18:07 | Music | Comments(0)

日本の詩を読む 3   


12月11日(金)は野村喜和夫さんが講義される「日本の詩を読む」の3回目でした。場所は東京池袋の淑徳大学サテライトキャンパス。今回は田村隆一の作品を読みました(「幻を見る人」、「腐刻画」、「帰途」、「「北」についてのノート」、「数千の天使を殺してから」の5篇。「数千の天使を殺してから」は時間がなかったため、読まずに解説だけでした)。

今回の講義で興味深かったのは田村隆一と吉岡実を比較して考察を進め、そこから作品を読んでいった点でした。新しい発見はいろいろありましたが、「詩は生の感性を隠匿するものである」という田村隆一の詩論の言葉がもっとも強く印象に残りました。言葉に厳しく対峙する姿勢を垣間見ると、私の奥深くに清冽な空気が流れ込み、何かがきりっと立つのを感じます。

講義の後は地下のライオンで例によって和気藹々と課外授業。野村さんの話はどこを取ってもやっぱりおいしいです。もっと公開講座をされたらいいのにと思った夜でした。

来週は谷川俊太郎さんです。詩は難しくなければならないと言われる野村さんからどんな講義が聴けるか楽しみです。

野村喜和夫さんのプロフィール
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by hannah5 | 2009-12-12 22:31 | 詩のイベント | Comments(0)

ふにゃら~   



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なんだ、猫のことばっかりだ、と思われる方には申し訳ないです。
当方、生まれて初めて猫を飼うことになり、しかも猫はあんまり好きではなかったので、
猫と一緒に暮らしてみて、猫ダイハッケンの毎日なのであります。

ね~こはこたつでまるくなる~♪
なんて誰が決めたんでしょうねぇ。
ある日、どうやってこたつに入っているのか覗いてみたら、
お腹を上にして両手両足をぐい~っと伸ばしたまま、右や左にごろん♪ごろん♪

それから数時間こたつに入っていたみーにゃは、
突然、こたつの外へ上半身だけぱっ!と出たかと思ったら
のび~~~となって目が覚めず。
あったまってのびてしまったみたいです。


12/11 追記
今日犬猫病院で量ってもらったら2.26kgありました。
風邪も引かず、順調に成長しています。
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by hannah5 | 2009-12-09 12:42 | 猫かわいがり | Comments(6)