<   2010年 01月 ( 11 )   > この月の画像一覧   

私の好きな詩・言葉(139) 「やさしい蘇生は穿たれた喪失からひろがる」 (松尾 真由美)   


やさしい蘇生は穿たれた喪失からひろがる


ひややかに過ぎさる水の流れをまといながら 夜の蝟集に耳を澄まし あやうい雨音の感触とともに消えかかった原画をなぞる 放縦な痕跡がにじむ境界線 つねに脱色をくりかえす像の切断面 やわらかな被膜であったもの 種子の発芽をうながし ほそい裂け目にあえぎ 変調する囁きをもたらす おそらくはやさしい抑圧から逃れるため 私は必然の衝動をよそおい 宙吊りのままに閉じられた白紙の部分を探っていく

無形の気配にだたようかすかな叫びをたぐり 手探りで解体するとおい記憶の ゆらぐ幻想に彩られた記憶にもたれ 届かない手紙をつづる目覚めの朝 まるで新しい誕生を求めるように熟した卵をかかえ ぬくもりの侵食から綻びはじめた私の円環のひそやかな悦びは あなたの水脈へとつながり あなたの祈りの密度をむさぼる とたえば夏の汗にまみれたあつい愛撫によって 免れえない息苦しさにねじれ いくどもあなたの胸を刺した指先の刃は私の著しい転倒をさらし はかない苦痛でかたどる互いの翳の罅 鏡の傷 すでにあなたの悲鳴は私の内奥で育まれ 抗うほどふかい呼応にしずみ 封じるほどあらわな服従をまねき 透明な交感をねがい 夥しい反復がうがつたしかな侵犯は 未分化の核をになう私の避けがたい磁場であった

そうして束ねていく摩滅の予兆に魅入られ 言葉と言葉の間隙にほのめく意味の領域は 翼の名残をのこすさざなみの息遣いをつたえ 晴れやかな均衡をたもつ 戻ることはない接点がひろげる永遠の躍動 その行方におびえ逸楽の裁断をつづけ あなたのあたたかい掌を葬りつづけ 私の盲目をあばくかなしい腐乱のうえ 真昼の波に垂直に落ちる日差しとなってあなたは輝き 互いの横顔を照らし したたかに裸体の露出をつらぬき あなたと私はおなじ形に柩を組み立てたとき相殺される

(松尾真由美詩集『燭花』

ひと言
[PR]

by hannah5 | 2010-01-31 23:15 | 私の好きな詩・言葉 | Comments(0)

更新、行進、こーしん   


更新が少し滞っているような感じですが、
詩作と投稿と翻訳が毎日交互に訪れて、
その他、みーにゃの世話があり、
雑用があり
おいしいものを千切ったり、むしったり、植えたり
しています。

ことばが
あっちこっちで
ぽこぽこして生まれてくるのが
おもしろい。

b0000924_21484934.jpg

3.22kgになったみーにゃはぼてっと重い。
だんだんかっこいい猫になってくる。
(親ばかならぬ飼い主ばかなのさ)



はんな
[PR]

by hannah5 | 2010-01-29 21:50 | ご挨拶 | Comments(0)

アナログな   


方程式は
1+1=2
になるはずで
どちらかというと
引き算より足し算の方が楽しいわけで
けれど息をしているうちは
引き算になることもあるわけで
そういう時はみぞおちのあたりをくっと引き締めて
浸りきるのよ涙の中に
わんわんと

デジタルがいいよね
アナログはどうもなんだかなぁ
チクタクしない方程式もあるらしくて
投げても投げてもストライクゾーンに入らないから
なあんだ、そういうことか、と思っていると
いつのまにかボールが返ってきて
受けそこなうじゃないか
ちゃんといついつこれこれと言ってくださいね、あらかじめ

掛け算と割り算もアリだけど
気前よく出してあげたのに
ふうーん・・・
と言ったままそっちへ歩いていく
黙って見ていると
そのまま角を曲がったきり
いつまでたっても帰ってこない

どこへ行っちゃったの?

ようやく見つけたら
ふわふわした綿菓子の出てくる前で
ひっそりと消えそうに立っていた
[PR]

by hannah5 | 2010-01-23 22:45 | 作品(2009~)

3.06kg   


b0000924_2335393.jpg

ついに3キロを越しました!今日の体重測定で、3.06kgでした。

朝、雨戸を開けた途端、目の前いっぱいに広がる朝日が大好きで、窓の外へ身を乗り出して朝日を浴びようとします。午前中は元気にぴょんぴょん。午後から夜にかけて一気に眠り、深夜になってから、どどどどどと駆け回る子。大きくなったね、みーちゃん。

去年は900グラム。こんなに小さかった。
b0000924_2342496.jpg




1/22 追記。
ふだん遊んでいる時はもっとかわいい顔をしているのですが、
この夜は目が覚めた後、遊ぼうと思って期待してうろうろしていたのに
飼い主はみーにゃに見向きもせず、パソコンばかり見つめてパタパタ。
ちっとも遊んでくれないので、
つまんないなぁ・・・と、やや退屈な表情をしているところです。
[PR]

by hannah5 | 2010-01-18 23:05 | 猫かわいがり | Comments(2)

今年の抱負   


徹底的に隔離することへの羨望
徹底的に隔離されることへの羨望

顔は要らない
その下に付随する肉や素性や世間体も要らない

ひたひたと歩きまわる
猫のように足音もたてずに

現れる所を明かさない
もとより現れる所など知らない

すばらしい!という砂糖菓子のような絶賛と
つまらん!というゴミ屑のような嘲りとの境を行く

絶賛も嘲りも家の中には存在しない
家の中に在るのは心臓の付け根あたりに埋まった乾いた白い塊ひとつと
血のいろよりも紅い水

こんこんと水が湧く

More
[PR]

by hannah5 | 2010-01-16 20:51 | 作品(2009~)

La Voix des poètes (詩人の聲) ~ 野村喜和夫朗読パフォーマンス「霊の抜け駆け、かく語りき。」   


1月14日(木)午後7時より、神田のNPO法人東京自由大学で野村喜和夫さんの朗読会がありました。天童大人さんのプロデュースでした。

野村さんの詩には難解な作品が多いですが、夕べは『稲妻狩』というアフォリズムの詩集から何篇か読まれました。これは割合わかりやすかったです。アフォリズム(aphorisum)というのは私もよく知らなかったのですが、金言とか箴言、警句ということらしいです。で、読まれたのは短い詩篇ばかりで、金言とか警句というより野村さん流の意表をついた物の見方や考え方でした。それにしても、1時間というのはあっという間に過ぎてしまいます。じっくりと聴いて味わうためにはもう少し時間が長い方がいいかもしれませんね。

蛇足ですが、会場に入場した途端にあれ?と思ってしまいました。いつもより少し髪の毛が増えていて、私的にはやっぱりいつもの野村さんの方が好きなんだけどな~と思った次第です。(もちろん個人の好みにケチをつけるわけではありません。)

訂正
[PR]

by hannah5 | 2010-01-15 19:17 | 詩のイベント | Comments(2)

波長がぶれて   


とんでもなく遠くへ行ってしまいそうな
わたしたちの会話
一人がぶちぶち言えば
もう一人がにぎにぎ言い返す
一つぼたんがはずれたまま
一つぼたんをはめそこなう

あなたのイロハと
わたしのイロハが
時間差を残したまま
並行に走らず
先になり追いかけ
追い越そうとして
ハンドルを切りそこね
カーブを曲がり切れずに
急ブレーキをかけたまま
ガードレールに突っ込んでしまった

曇り空が広がって
みるみるうちに暗雲が立ち込め
あなたの姿が見えないまま
わたしの姿も見つけてもらえないまま
わたしたちは手探りで
お互いを探している

ほんとうは走ったりしないで
歩いていけばいいんだろうな
息が切れないくらいのスピードで
ここにいるよって大声を出さずに
ただ歩いていけばいいんだろう
そうやって自然歩行でいけば
いつのまにか
あなたの手とわたしの手がつながって
そのままなんとなく離れずに
二人並んでいくことができるんだろうね


(詩と思想1・2月号投稿作品)

More
[PR]

by hannah5 | 2010-01-12 18:30 | 投稿・同人誌など

詩と思想新年会   


今日は午後1時より詩と思想の新年会があり、参加させていただきました。開場は表参道のNHK青山荘。

毎年新年会と同時に新人賞の授賞式が行われ、今回は伊藤浩子さんの「私は」が受賞しました。開会の挨拶や来賓の挨拶の後、一色真理さんより選考経過の報告、3人の選者から選評の報告がありました。受賞者の表彰、花束贈呈が続き、午後2時からは懇親会でした。

I. 第18回「詩と思想 新人賞」授賞式 午後1時~2時

○ 開会の言葉: 中村不二夫
○ 来賓のご挨拶: 伊藤桂一、八木幹夫、比留間一成、西岡光秋
○ 選考経過: 一色真理
○ 選評: 相沢史郎、新川和江、森田進
○ 受賞者の表彰
○ 受賞者紹介: 岡島弘子
○ 受賞者挨拶と受賞詩の朗読: 伊藤浩子 「私は」
○ 花束贈呈

II. 懇親会 午後2時~4時

○ 開宴の言葉: 菊田守
○ 乾杯: 丸山勝久
○ スピーチ
○ 社主挨拶
○ 閉会の言葉
(敬称略)

ロッサの伴奏を背景に伊藤浩子さん自身が「私は」を朗読されましたが、音楽が作品の雰囲気に合っていて、思わず引き込まれて聴きました。作品は伊藤浩子さんの少女時代の話で、なんだかじいんと考えさせるものでした。(伊藤浩子さんの「私は」は詩と思想12月号に掲載されていますので、そちらをご覧ください。)

最後に余興でレボヴィッツさんが三味線を披露されました。レボヴィッツさんの三味線はチントンシャンの三味線ではなくて、元気いっぱいのジャンジャカジャンの感じの三味線で、詩の新年会にしては元気なパワーが炸裂するような感じでした。

会場で何人かの方達とご挨拶。思いがけず小川英晴さんから家に遊びにおいでよというお誘いを受けたり(はい、伺います!もちろん!)、新現代詩の川原よしひささんとゆっくりお話ができたり、野村喜和夫さんと簡単ですが個人的なご挨拶ができたり、岡島弘子さんと親しくお話させていただいたり、高岡力さんとも今回少し近くお話させていただくことができて、懇親会みたいな席で人とさりげない会話をするのが苦手な私としてはよい新年会に参加させていただいたと思っています。懇親会の後は手羽先専門店鳥良で二次会でした。

最後に。誘ってくれたみつとみさん、ありがとうです。
[PR]

by hannah5 | 2010-01-11 22:10 | 詩のイベント | Comments(0)

おやすみにゃ   


b0000924_017064.jpg


                        明日も楽しい日だといいにゃ

More
[PR]

by hannah5 | 2010-01-09 23:16 | 猫かわいがり | Comments(2)

藍いろの空   


藍いろに染まっていく空のかたちが
そのまま降りてきて わたしたちが
何をしゃべっていたのか思い出せないほど
ひそやかだった時間が
小さな音をたてて
心臓の付け根あたりに皺をつくる

そのたびに
少しだけ空に圧迫されるような気がして
ガラス窓の向こうに見える灯りや
道行く人に目を移す

ポストカードや三日月の栞や
ペーパーウェイトや犬の木彫りや
会うたびにもらったきれいな物たちが
透明なプラスチックの箱の中で
ひみつの宝物みたいにふえていって
しずかな夜 箱をあけては
ひとつずつ取り出して見ている

今日の藍いろの空は けれども
それらのどの宝物よりもひっそりとしていて
一人ほっとして
だれもいない空の中で
折りたたんでしまっておいた気分を広げている

空が暗闇に落ちていく寸前
ひとりでいることがとがめられず
ゆるめられてほのかに
あたたかい


(旋律24号掲載)
[PR]

by hannah5 | 2010-01-04 21:17 | 投稿・同人誌など