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La Voix des poètes (詩人の聲) ~ 松尾真由美さんの朗読会 ~   


2月25日(木)午後7時より、京橋のギャラリー東京ユマニテで、天童大人さんのプロデュースにより松尾真由美さんの詩の朗読会がありました。

松尾さんの朗読会は、最近私が注目している詩人さんということもあってとても楽しみにしていました。開演間近、黒のドレスに身を包んで現れた松尾さんは写真で見るとおりの妖艶な色香を漂わせる美人でした。少し緊張した面持ちで椅子に座るとやや低めの声で話し出され、それからおもむろにご自身の詩集『秘めやかな共振、もしくは招かれたあとの光度が水底をより深める』(『不完全協和音 consonannza imperfetto』の中の1冊)を取り出し、「光、飛翔のためのしなやかな純度にもつれる 河野道代「作品 II」に寄せて」を読み始められました。

恍惚として溢れ、滑らかに吸い込まれるような不思議な感動がありました。それは確固とした形になっていないけれど、魂の奥の柔らかい部分に直接触れるような感じでした。たとえば映像のないCDをReal Player などに入れて聴くと、画面に不思議なCGのような映像が現れることがありますが、松尾さんの朗読はそのような感じでした。現実をさまよっているような、夢の中に取り込まれて渦のように旋回しているような、現実と夢の境が見つけられずに漂っているような感じでした。定義や方向性やロジックなどの言葉のもつ限度と枠を超え、自由に遊泳し続ける言葉たち。それは時として知の理解を超えるものではあっても、斬新な力と地の底から地熱のように発し続ける熱が、これこそ言葉そのものであると言っているようでした。

私にとって詩は知性やロジックであるよりも、どこかに官能の気配がなければならないと思っています。官能というとつい官能小説のようなあからさまにエロチックなものを想像しがちですが、私の言う官能は心の奥深くで享受される歓喜、悦楽、悲哀、躍動、微かな感動などで、それがなくては人生も作品も無味乾燥になるようなものです。男女の詩に優劣はありませんが、どうも女性の詩の方がより豊かに官能を表現しているように思えてなりません。

欲を言えば、全体的にもう少し彩りのあるパフォーマンスに仕立てられていればよかったかなと思いましたが、松尾さんの言葉そのものに触れることができて夕べは楽しかったです。(上記の他に、個展用パンフレット詩集『装飾期、箱の中のひろやかな物語を』からも朗読されました。)

松尾真由美さんのプロフィール
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by hannah5 | 2010-02-26 18:14 | 詩のイベント | Comments(0)

扉いちまいの日   


扉の前に立つ
乾いた音がシャラシャラ風に鳴る
丈夫で気楽な仮面が風に揺れる
平衡感覚がこちらから向こうまでまっすぐ延びている
その上をすたすた歩いていく
一人知るのも十人知るのも同じ
変わらない

扉を開ける日は
手触りのよい絹ごしの潤いが
細い糸を垂らしている
草むらに隠した足跡を点々と見つけては
拾わない
知らない顔がいくつも落ちていて
けれどそれらを見ることはしない
だからどんな表情をしていたのか
いくつ落ちていたのか知らないし
確かめることもしない

扉の向こうに行くと
斜めになった酔っ払いが
つぎはぎだらけの服を着て
ふらふら歩いていくのが
見える
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by hannah5 | 2010-02-22 13:30 | 作品(2009~)

ふたたび格闘ちゅう!   


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                      本来はブーツスタンドですが

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                        格好の攻撃材料になり

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                          かなり攻撃され

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                           いたぶられ

ブーツスタンド用に買ったものですが、長靴に入れて立てておいたら、ある日何度も玄関へ行くので見に行くと、顔めがけてしきりと攻撃していました。かわいい顔なのにみーにゃには怖く映るらしく、半分腰が引けたまま爪を立てて猛攻撃を繰り返すのです。顔が見えないように反対を向けても攻撃は止まず、違う場所に置いてもすぐに見つけ出して攻撃。怖いのなら止めておけばいいのに、すごい勢いで飛びかかっては引きずり倒すのです。仕方がないのでブーツスタンドは廃業、みーにゃの悪がき友に昇格しました。


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                         一晩中格闘ちゅうっ!

みーにゃのベッドに買ったのですが寝たことは一度もなく、遊んでいる最中に飛び込んだりする程度でした。ある晩、何を思ったか中のスポンジを引っ張り出そうとベッドごと部屋から部屋へ引きずり回し、翌朝見たら中身が部屋の片隅にころがってました。深夜から真夜中にかけて、時々発作みたいに熱中して遊んでます。

(写真は携帯で撮りましたが、みーにゃの動きが速くてピンボケになりました。)
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by hannah5 | 2010-02-20 15:39 | 猫かわいがり | Comments(0)

私の好きな詩・言葉(140) 「不在の息子」 (永井ますみ)   


不在の息子


息子は、「じゃあ」と言っただけで普段のスニーカーのまま出て行ってしまった。私は「どこへ」と言いそうになったけど、堪えた。「おかんはいつも、どこへってばっかり、オレを監視するんか」と鋭い視線が帰ってくるだけと分かっていたから。

「いっつもゲームばっかり。なんぼぅなんでも、あれじゃあ、あかんやろ」と、弟が言うので任せてしまったけれど、弟の船に乗って今頃は、海に網を降ろしているだろうか。ゲームのキーしか押したことのない華奢な手が、網から跳ねる魚を外しているのだろうか。

日差しに弱い息子のアトピーをかばって、なんでも代わってやったのが悪かったのだ。「おかん、やっといて」で済ます息子の姿が時に好ましく、時にうとましい。体力の逆転をみると、今頃後悔しても、もう遅いけど。

「黙って入って来んな」という罵声を聞かずに、部屋へスルッと入った。何日も留守をしている息子の、部屋の雨戸を開ける。意外に片づいたベッドの廻り。うすくたまりはじめた埃。部屋の真ん中に丸いクッション。まるでへしゃげかけた風船みたいだ。

窓の向こう、海の方から光が差し込んでくる。微かな波の音がする。息子は光も見ず、風の音も聴かず雨戸を閉ざしたまま、この丸いクッションに、いつでも、いつまでも倒れこんでいたのだろうか。

風船のクッションにそっと頭を載せる。そして背中を載せて横たわる。ザワザワザワと耳元にビーズ玉のこすれる音、おだやかな暖かみが、背中から押し寄せてくる。窓から入る、葉裏をすり抜けた風。

息子はどこへ行ってしまったのだろう。

(「新現代詩」9号所収)

ひと言
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by hannah5 | 2010-02-19 19:15 | 私の好きな詩・言葉 | Comments(0)

失敗しない笑い方   


固い雨の中
もつれたたくさんの糸をほどこうとして
どんどん絡まっていくから
ひっそりとやせ細るほど怪しくなって
酸っぱい気持のまま歩きつづけた
きのうからきょうからあしたにかけて

筋ばった空気のほどき方がわからない
ひとつふたつみっつ数えながら
ねぇ、どうしてなんだよぉ
とひときわ大きく放りあげてみた
すると落ちてきたのは
痩せこけて目ばかりギョロギョロしている空気

わたしの先にあるのは
こんなはずじゃなかった
が禁句だった未来
なのに踏み込んだ森はかなり見透しが悪く
東西南北の磁石は使いものにならず
おまけにわたし自身はかなりの方向音痴であり

ひぃふぅみぃよぉ
いろはにほへとちりぬるを
あぶだかたぶら
チチンプイ!
唱えた呪文が山と積まれる

世界は深遠のまま廻りつづけて
遊園地のメリーゴーラウンドより面白く
宇宙を飛びつづける衛星より酔い心地もよく
どこかにほころびがあるはずで
とりあえず引っかいてみれば
あの時どこまでもするすると伸びていった弓のような熱が
着地しているのが見つかるかもしれない

失敗しない笑い方って
あるのだろうか


(新現代詩9号掲載)
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by hannah5 | 2010-02-17 18:15 | 投稿・同人誌など

新現代詩   


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新現代詩(新現代詩の会編集、龍書房発行)9号が出ました。
拙作「失敗しない笑い方」で参加しました。
去年の10月に行われた合評会の報告も出ています(はんな初参加)。
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by hannah5 | 2010-02-12 14:46 | 投稿・同人誌など | Comments(0)

現代詩の合評会 ~ みんなで読み解きをしてみよう その5   


2月11日(木)、光冨いくやさんによる現代詩の読み解き会が秩父のポエトリーカフェ武甲書店で行われました。今回は前回より人数がふえて全部で9名の参加者があり、そのうち3名は初参加の方たちでした。

今回は参加者がふえたこともあって、前回まで行われていた現代詩の読み解きは割愛され、参加者の作品の合評のみ行われました。最初に参加者が自分の作品を朗読、その後光冨さんが作品の読み解きと解説を加え、最後に全員で自由に意見や感想を述べ合うフリートーキングでした。作品はしたらきよしさんの「愛おしい時間(電車に乗るのが時々辛くなる人のために)」、五十嵐倫子さんの「ハムエッグ」、石川厚志さんの「しり突つき」、呉竹笑子さんの「レンズを通さないで」、浅見和代さんの「宇宙」、はんなの「そろそろねぐらに帰ります」、TASKEさんの「対人恐怖症 2009」、堀口恵子さんの「軍艦と手品師」でした(合評順)。


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今回で5回目の「現代詩の合評会~みんなで読み解きしてみよう~」ですが、毎回参加される方たちが定着しつつあり、だいぶ顔なじみになったこともあって、合評会は終始和やかで楽しい雰囲気でした。

講師の光冨さん、武甲書店の坂本さんご夫妻、参加者の皆様、おつかれさまでした。今回もとても楽しかったです。4月にまた予定されているようなので、楽しみにしています。

光冨いくやさんのプロフィール
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by hannah5 | 2010-02-12 13:28 | 詩のイベント | Comments(2)

誌上でびゅう!   


「ねこのきもち」という月刊のねこ専門誌がありますが、そのHPにみーにゃの写真を投稿しました。
格闘ちゅう!の写真。
よかったら覗いてみてください。
みんなかわいいこねこちゃんばかりです。
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by hannah5 | 2010-02-08 19:45 | 猫かわいがり | Comments(0)