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私の好きな詩・言葉(148) 「庭」 (新井 豊美)   





そこで人々は耳をひらき
廃れていく時の培養基
褐色した印画紙の
(紙の中をながれる風の音)
時の⦅息⦆に聴きいっていた

ゆくために
必要なものはなにもない
(手ぶらを)
  (見えているそのままの姿を)
    (奪い取って)
そしていつのまにか
写真のなかの最後の一人となった子供だけが
見知らぬ星の形見として地上に残される
(かなしいとすればそのことだ)

沈黙に人々が与えたたくさんのうつくしい呼び名
  (廃家の)、(廃庭の)、(廃市の)
    (閉じられた手箱の・・・・・)、(思い出の・・・・・・)

言葉
失われた数々の季節をよみがえらせるために
水底の凍った泥をかきまわす春の魚
そのちいさなあかい胸鰭
芽吹くはしばみの枝を折って池の中にさしこむと
ふくらむ水の腹を枝はつらぬき
あざやかに溶け入る血

流れおりる枝先からさみどりの水滴にふくらんで
滴の音が
耳の濁りをいっとき
透明にする


(現代詩手帖1月号掲載)

ひと言
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by hannah5 | 2012-01-30 01:49 | 私の好きな詩・言葉 | Comments(0)

New Family   


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新しい子がうちにやって来ました
名前はくろーにゃ
黒、mix
オス
推定年齢3、4歳
体重 5kg
おっとりしたマイペース、とっても甘えん坊でナデナデするとすぐゴロゴロ言います、人懐こい
よろしくね☆彡

ちなみにみーにゃは
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by hannah5 | 2012-01-28 23:54 | 猫かわいがり | Comments(0)

訃報   


新井豊美さんが亡くなりました。享年76。まだまだいろいろ教えていただきたかったのに、とても残念です。ご冥福をお祈りいたします。

朝日新聞
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by hannah5 | 2012-01-24 20:53 | ご挨拶 | Comments(0)

流行り歌   


嘘つきが
形に残らないように
影を消す

あったのは
意識の交合
できるだけ遠くに背伸びして立つ
自由意志の祝宴をするために
どこにも残らないことをしてみるのも悪くはないが
たまには泥団子を作って並べてみたかった
妙に楽しくて
お腹がすいて
やがて手のひらのしわが満腹になる

ほしかったのはこれ!
っぽちの泥遊び、誰のものでもなく
生真面目な夢ひとつ
だのに君がほしかったのは
それっぽっちの隠れんぼ
もういいかい?
まあだだよ
三回繰り返すうちにいなくなってしまった

ありそうでなかったもの
もとより
たぶん
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by hannah5 | 2012-01-21 23:50 | 作品(2009~)

日本の詩を読む VI   


1月6日(金)は「日本の詩を読む-戦後の名詩集を読む」の最終講義でした。取り上げたのは中江俊夫の詩集『語彙集』(1972年、思潮社)でした。

中江俊夫のコアなファンならともかく、この詩集を読んだという人は恐らくあまりいないのではないかと思います。実際、教室でも『語彙集』を読んだことがある、または知っているという人はほとんどありませんでした。ページをめくってみると単語が並んでいて、一応行分け詩の形にはなっていますが、単語同士の関係や繋がりがよくわかりません。しかし、この詩集には長谷川龍生、小海永二、北川透といった人たちの紹介文が「中江俊夫の世界」という別刷りの小冊子で付録としてついています。しかも、この詩集は高見順賞を受賞します(1973年第3回高見順賞)。

教室では「語彙集第二十九章」(部分)と「語彙集第九十章」を読みました。読んでみてもすぐにはわかりませんが、しかし、じっとりとした何かが伝わってきます。普通の日本語から見るとまるで意味のない言葉同士なのに、その向こう側に作者のねっとりとした世界が広がっているのを感じます。


                             *****


語彙集第九十章


ずんぐり肉ぼってり肉あんぐり肉
やんわり肉ふんわり肉むっちり肉

しんねり肉むっつり肉ぺったり肉
つるつる肉しとしと肉しっとり肉

むんむん肉もんもん肉すんすん肉
のらり肉くらり肉くるり肉

ぽちゃぽちゃ肉ぺたぺた肉ぬるぬる肉
べちゃべちゃ肉ずぶずぶ肉うんうん肉

ぎっこん肉くらくら肉よいしょ肉
ばったん肉よしよし肉こらしょ肉

ぐんにゃり肉くにゃくにゃ肉くたり肉
うふん肉うむうん肉むうん肉

いん肉にん肉おお肉
ああ肉み肉ひー肉

(中江俊夫詩集『語彙集』より)

中江俊夫
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by hannah5 | 2012-01-07 20:36 | 詩のイベント | Comments(0)

ひとしずく   


本当は
確かに同じ方向を見ていた瞬間があって

かすかな雨の降る音を聴いたり
― うすくれないの小さなふくらみ
傘もささずに夜の街を歩き続けたり
― 長靴の底で踏む白いぬくもり

形にならない名前がいくつか舗道に転がっていて
落ちてくる雨の下で
そうね、とか
いいよね、とか言って
消えずにいることが相槌のようで

始まりも終わりもなく
どこまでもずっと歩いて行けそうで
笑うことを忘れていた手のひらが
ぽっとあたたかくなって
初めてのように息をついだ

何かが必要で
何も必要ではなく
― 雨がつま先を絡めて踊っている

いつだったか
ガラスのペーパーウェイトをもらったことがあって
透明な重みがぽってりとしていて
底に綺麗な切れ長の目が沈んでいた
― 淡い甘味がかすれて浮いてくる


上手に重ねられなかった日日の間に
雨の滴がころころと
落ちていく


(旋律28号)
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by hannah5 | 2012-01-04 17:29 | 投稿・同人誌など

謹賀新年   




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               (仔猫の頃のみーにゃ)



                     あけましておめでとうございます
                    去年は内外ともに多難な年でした
            今年は回復と癒やしと平安に満ちた幸せな年になりますように
                     今年もよろしくお願いいたします


                             はんな
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by hannah5 | 2012-01-01 01:34 | ご挨拶 | Comments(2)