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吉原幸子草稿展 ~ ラ・メール同窓会   


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6月21日(金)から今日まで、荻窪の葉月ホールで「吉原幸子草稿展」が開かれています。吉原幸子没後10年、ラ・メール創刊30年を記念して、吉原幸子の自筆原稿や劇団四季時代の写真などが展示されています。その関連イベントとして、22日(土)は吉原幸子の素顔や個人的な関係などの紹介(鈴木ユリイカ、吉原純)、28日(金)は記念朗読会が数奇和(東京西荻窪)で(稲葉真弓、野村喜和夫、小池昌代、目黒裕佳子)、29日(土)はラ・メールの同人たちによる「ラ・メール同窓会」が行われました(新川和江、新藤涼子、柴田千晶、岬多可子、國峰照子、中本道代)。私は時間の関係で、29日に行われた「ラ・メール同窓会」だけ行ってみました。

ラ・メールは思潮社の小田久郎さんの発案で、新川和江さんと吉原幸子さんを編集人として始められた女性だけの詩誌で、1983年から1993年まで続けられました。(柴田千晶さんや岬多可子さん、國峰照子さん、中本道代さん、小池昌代さんはラ・メール新人賞を受賞した方たちです。)

女性詩人として活躍されてこられた新川和江さんや新藤涼子さんのお話はとても面白かっただけでなく、同性の私には大変興味深く、参考になることばかりでした。

ところで、しばらく前まで参加させていただいていた旋律は長崎ラ・メールの会発行の詩誌ですが、1999年2月に新川和江さんが長崎を訪問された折りに記念として創刊されたものです(この夏をもって旋律は休刊します)。新川和江さんと家が近いことなど、ラ・メールと直接関係はないものの、間接的にラ・メールに繋がりがあるようで、不思議な縁を感じます。

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by hannah5 | 2013-06-30 18:46 | 詩のイベント | Comments(0)

詩と思想7月号   


詩と思想7月号にて、拙詩集『あ、』に批評をいただきました。
批評をくださったのは、現在詩集評を担当していらっしゃる中井ひさ子さんです。
ありがとうございました。

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by hannah5 | 2013-06-28 17:10 | 詩のイベント | Comments(0)

日本の詩を読む IX その3   


6月17日(月)は「日本の詩を読む-女性詩人」の3回目の講義でした。今回は吉原幸子さんの作品を読みました。

講義を箇条書きにすると。
●告白の不可能性
●愛の詩人を演じる演技性
●  自己愛(ナルシスト)
●メタファーがない
●『幼年連祷』-言葉なき者から言葉なき者を言語化する

読んだ作品は「無題(ナンセンス)」「狂」「発光」、そして現代詩手帖に書かれた野村喜和夫さんの吉原幸子評「のうずゐの とび散るおと」でした。私にとっては嫌いではないけれど好きでもない吉原幸子の作品の中で、「狂」がもっともインパクトがありました。





目をつぶると
かわいた お茶の葉のやうに
のうずゐの とび散るおとがする

さんさんと 
殺さう 片わの うつくしいへび

馬がさかさまになって 月が出る
子を抱いて マリアは赤い涙をながす
指をけづって けづって
赤い字を 書くのです

いっぽんの 白い髪 たくさんの 白い髪
わるくないもん だって 夢がいけないんだ 紙が

自転車が 海のなかで ゆっくりと衝突する
指をけづって えんぴつのやうにとがらして
真赤な字を 何と書かう マリアさま

闇がくる 波がくる 熱がくる
ナイフがくる 猫がくる ガラスを破れ!

かはいそ かはいそ かはいそ
みんな だれもかれも

(吉原幸子詩集 『幼年連祷』 より)
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by hannah5 | 2013-06-21 16:36 | 詩のイベント | Comments(0)

スーハ!10号   


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よこしおんクラブからスーハ!10号が発行されました。
新井豊美さんの追悼特集です。
新井さんのご長女とのインタビューや新井さんが書かれた詩や評論など、全貌が掲載されています。
ぜひ手に取ってご覧ください。
スーハ!10号のお申し込みはよこしおんクラブまで→よこしおんクラブ
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by hannah5 | 2013-06-10 16:40 | 投稿・同人誌など | Comments(0)

日本の詩を読む IX その2   


6月3日(月)は「日本の詩を読む-女性詩人」の2回目の講義でした。新川和江さんの作品を読みました。

不思議で大らかな作風、所謂大地的な女性性。遠くの深い所を見ているような感じ。もしかしたら、たぶん、新川さんのような作品は現代の若手の詩人たちの作品には見られないものかもしれません。読んだのは「ミンダの店」、「見知らぬ男のうしろ姿」でした。(引用した「ミンダの店」には新川さんが書かれた詩の説明がついていて、なかなか面白いのでそちらも引用させていただきました。)

それにしても、こういう作品を読むと、詩を書くときは深呼吸をして、遠くに目をやって、目先の細かい技巧的なことはちょっと置いておいて・・・と、反省させられます。



ミンダの店

         ――その馬はうしろをふりむいて
           誰もまだ見たことのないものを見た
                      J.シュペルヴィエル

いろいろ果実はならべたが
店いっぱいにならべたが
ミンダはふっと思ってしまう
〈なにかが足りない〉

そうだ たしかになにかが足りない

たちどころに
レモンが腐る パイナップルが腐る バナナが腐る
金銭登録機(レジ)が腐る 風が腐る 広場の大時計が腐る

来るだろうか
仕入れ口に立って
ミンダは道のほうを見る
来るだろうか それを載せた配達車は?

西洋の貴婦人たちも 東洋の王も
たえて久しく味わったことのない珍菓
いやいや そういうものではないな
橋の下の乞食のこどもが
汚れた指で
ある日むいたちっぽけな蜜柑
いやいや そういうものでもないな
言葉にすると嘘ばかりがふくらんで
奇妙な果実のお化けになる

ともあれミンダは
ふっと思ってしまったのだ

それ以来
片身をそがれた魚のように
はんしん骨をさらした姿勢で
ミンダは道のほうばかり見ている
それが来なければ
りんごも いちじくも 死んだまま
歴史も 絵はがきも
水道の蛇口も 死んだまま


最近、スィーティという名の、皮が濃い緑色をした大きな蜜柑をいただいた。イスラエル産で、十年ほど前から輸入されているとの由。季節ごとに各地から届くくだもので充足していて、果実店をのぞくことはめったに無かったから、高知産の文旦に似た上品な甘さを持つこのスィーティと私とは、はじめての出会いなのであった。ミンダが待っていたのは、このような果実だったのではないかと、昔書いたこの詩を思い出した。
 しかし手にしてみれば、そうして味わってみれば、その瞬間から既知の果実になるわけで、次の日から又ミンダは仕入れ口に立ち、まだ見たことも無い果実を積んだ車が入ってくるのを、待つのだろう。
 希望というのではない、ましてや欲望というなまなましいものでもない、心が抱えた漠とした欠除。それを埋めてくれる何ものかの到来を、待ちつづけているところが人にはありはしないだろうか。尻っぽを斬り落とした尾骶骨のあたりからか、胸の奥のランゲルハンス島あたりからか、靄のように湧き出す、きわめて厄介でかつ贅沢なエモーション。
 私はこのミンダを、痩身で手脚がやや人よりも長い感じの青年俳優アンソニー・パーキンスに托して、前掛など締めて貰い、果実店の仕入れ口に立って貰ったつもりなのだが、当時、作家の加藤幸子さんが書いてくださった評言の中に、つぎのようなくだりがあった。
《……売子嬢のミンダが〈来なければ不足なのだが正体不明の何か〉を永久に待ちつづけている。シャガールの夢から抜けでたような光景には一種の郷愁も漂うのだが、黙読をくり返すうちに私は愕然とした。もしかしたら、ミンダはかわいい娘というのは錯覚で、すでに百歳を越えた老婆であるのかもしれない。彼女がふり返って素顔を私に見せないうちに、退散するほうが……》。
 百歳にはまだ間があるが私ももはや〈老婆〉である。先日TVの映画でゆくりなくも観たパーキンスが、まぎれもなく〈老人〉になっていて、これには愕然とした。
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by hannah5 | 2013-06-07 23:11 | 詩のイベント | Comments(0)

日本の詩祭2013   


6月2日(日)、日本現代詩人会主催による「日本の詩祭2013」が行われました(於ホテル・メトロポリタン・エドモント)。今年のH氏賞は石田瑞穂さんの『まどろみの島』、現代詩人賞は池井昌樹さんの『明星』がそれぞれ受賞されました。また、先達詩人の顕彰は比留間一成さんに贈られました。その後、休憩を挟んで、詩の朗読、DiVaによる演奏、「越境できるか、詩歌」と題したシンポジウムが行われ、とても楽しかったです。石田瑞穂さんの『まどろみの島』も印象的でしたし、池井昌樹さんの『明星』の作品は私の中で強いインパクトが残りました。

前回行った時は新井豊美さんが会長の時で、病気のことなどまったくなくて、まだお元気でした。そんなことを思い出したりしていました。


【プログラム】

[Ⅰ]
開会のことば理事長                            山田隆昭
★第63回H氏賞贈呈
    選考経過報告                  選考委員長   斎藤征義
    H氏賞贈呈                    会長       八木忠栄
    受賞詩集『まどろみの島』について                城戸朱里
    受賞のことば                             石田瑞穂
★第31回現代詩人賞贈呈  
    選考経過報告                  選考委員長   秋山基夫
    現代詩人賞贈呈                 会長       八木忠栄
    受賞詩集『明星』について                     丸山達馬
    受賞のことば                             池井昌樹
★先達詩人の顕彰
    先達詩人への敬意・記念品贈呈       会長       八木忠栄
    比留間一成氏について                       伊勢山峻
    先達詩人のことば                          比留間一成

司会 高山利三郎、杉本真維子、廿楽順治、柴田千晶

(休憩)


[Ⅱ]
★詩の朗読H詩賞受賞詩集『まどろみの島』から           石田瑞穂
現代詩人賞受賞詩集『明星』から                     池井昌樹
★音楽DiVa演奏
   高瀬麻里子(Vo)、谷川賢作(Pf)、大坪寛彦(B)
★シンポジウム「越境できるか、詩歌」
   パネラー 短歌・穂村弘、俳句・奥坂まや、詩・高橋睦郎
   司会 野村喜和夫

閉会のことば                        実行委員長  金井雄二
(敬称略)
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by hannah5 | 2013-06-05 20:54 | 詩のイベント | Comments(0)

詩画展   


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5/23(月)から6/2(日)まで、詩と絵画による詩画展が横浜の画廊楽Iで展示されていました。今回のテーマは「自然」で、私は「村ぐらし」という作品で参加しました。詩画展は実際に展示されるまでどんな作品とコラボされるのかわからないので、会場へ行く道すがらサプライズみたいでいつも楽しみにしています。今回私の作品とコラボしていただいた絵は川井和恵さんの作品で、鳥の巣に卵が2つ、白い羽が散っていて、あたかもたった今親鳥がどこかへ飛び立った感じを描いた作品です。今回はコラボする関係上、作品に題名はつけないことが条件でした。



******



村ぐらし


空のてっぺんで
鳥が鳴く
雨のあがった空の中から
しみわたるように鳴く

その瞬間
脂にまみれた疲労も
出口の見えない苦しみも
すべて小さく丸まって
落ちていった

空を渡り
空に舞い
空を啄む
小さな鳥よ

インターネットも宇宙開発も
ハイテクも光ファイバーも
私たち人間の便利の一切を知らずに
大昔からずっと変わることなく
同じ音色で鳴き続けてきた鳥よ

私たちがお互いの競争に一喜一憂している間に
おまえたちは澄んだ声を響かせ
晴れた日には空から空へと移動し
雨が降れば木々の間で翼を休め
雨あがりの日には
今日と同じように
空の青さを染めて鳴く

私たちが進化と呼んで享受してきたものは
地上で小さくなってうごめいているね

(長野県諏訪郡原村にて)



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詩画展の会場、画廊楽I

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by hannah5 | 2013-06-03 01:03 | 詩のイベント | Comments(0)