<   2015年 01月 ( 8 )   > この月の画像一覧   

アムバルワリア祭   


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1月24日(土)、慶応大学三田キャンパスで詩人や研究者による西脇順三郎と萩原朔太郎に関する講演とトークがありました。司会は西脇順三郎の弟子であり研究家の新倉俊一さん、講演は3人の詩人、八木幹夫さん、野村喜和夫さん、杉本徹さんで、それぞれ20分ずつさまざまな角度から講演がなされました(もう少し時間が長いとよかったと思いました。20分はちょっと短かったです)。講演はどれも面白かったですが、特に西脇順三郎をじかに知っていらっしゃる新倉俊一さんの話は、西脇を文字でしか知ることのない私にとっては非常に興味深かったです。


【アムバルワリア祭プログラム】

「西脇順三郎生誕記念 西脇順三郎と萩原朔太郎-二人の詩法をめぐって」

開会挨拶      内藤正人(慶応義塾大学アートセンター所長)
イントロダクション 新倉俊一(明治学院大学名誉教授)
講演         八木幹夫  「詩篇に現れた精神風土のちがい」
            杉本徹    「永遠の女のゆくえ」
            野村喜和夫 「西脇は萩原を脱構築する-詩的言語の継承と乗り越え」
3人の登壇者によるトーク・セッション(モデレーター 新倉俊一)
(敬称略)

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(向かって右から)対談中の新倉俊一さん、杉本徹さん、野村喜和夫さん、八木幹夫さん

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by hannah5 | 2015-01-25 20:22 | 詩のイベント | Comments(0)

新井豊美評論集   


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新井豊美先生が亡くなられてから今日で3年経ちました。今でもずっと、先生が生きていらしたら、と思います。荻窪のカルチャーセンターで毎月1回、新井先生が開いていらした詩の教室に通うのが何よりも楽しみでした。どんな作品を持って行っても、先生は受け止めてくださり、丁寧に評をくださいました。教室が終わると生徒たちとお昼ごはんを食べるのですが、たまに先生もご一緒され、他愛のないおしゃべりが楽しかったです。そのうち先生はだんだん声を失われ、最後には話される言葉も聞きづらくなりました。

教室の生徒たちと同人誌「階音」を出すことになり、亡くなる前年の秋も終わり頃だったと思いますが、先生と二人で喫茶店で打ち合わせをしました。その時、先生に、近いうちに詩集を出すので栞に言葉を書いてくださいとお願いしたら、先生は快諾してくださいました。でも、その約束が果たされないうちに、先生は翌年、あっという間に逝ってしまわれました。

去年の暮れ、思潮社から本の包みが届きました。あけてみると新井豊美評論集が2冊入っていました。手に取ってみましたが、しばらく震えが止まりませんでした。あとでわかりましたが、ご遺族が送ってくださったのだそうです。

時間を作って、ゆっくり大切に読ませていただこうと思っています。


新井豊美評論集Ⅰ『「ゲニウスの地図」への旅』
新井豊美評論集Ⅱ『歩くための地誌』
(思潮社)
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by hannah5 | 2015-01-21 22:47 | ご挨拶 | Comments(0)

日本の詩を読む XII 第3回 ~西脇順三郎へのアプローチ~   


西脇順三郎の3回目の講義が1月19日に行われました。今回のテーマは「転回― 『旅人かへらず』 の世界」で、『旅人かへらず』 におけるニーチェの影響や、ニーチェの永遠回帰と正反対の立場をとった西脇の考え、幻影の人とは何かなどを中心に講義が行われました。 『旅人かへらず』 は 『Ambarvaria』 と比べるとかなり日本的な作風に変わっていて、北園克衛から「風邪をひいた牧人」とまで批判されましたが、西脇自身は詩に対しての思いは 『Ambarvaria』 の時と変わっていないと弁明しています。読んだ作品は168篇の詩篇の中から、1から10までと、167、168を読みました。






旅人は待てよ
このかすかな泉に
舌を濡らす前に
考へよ人生の旅人
汝もまた岩間からしみ出た
水霊にすぎない
この考へる水も永劫には流れない
永劫の或時にひからびる
ああかけすが鳴いてやかましい
時々この水の中から
花をかざした幻影の人が出る
永遠の生命を求めるは夢
流れ去る生命のせせらぎに
思ひを捨て遂に
永劫の断崖より落ちて
消え失せんと望むはうつつ
さう言ふはこの幻影の河童
村や町へ水から出て遊びに来る
浮雲の影に水草ののびる頃



一六八


永劫の根に触れ
心の鶉の鳴く
野ばらの乱れ咲く野末
砧の音する村
樵路の横ぎる里
白壁のくづるる町を過ぎ
路傍の寺に立寄り
曼荼羅の織物を拝み
枯れ枝の山のくづれを越え
水茎の長く映る渡しをわたり
草の実のさがる藪を通り
幻影の人は去る
永劫の旅人は帰らず
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by hannah5 | 2015-01-20 18:00 | 詩のイベント | Comments(0)

詩の旅 ~ 旅の詩   



日本ならば、西行、そして芭蕉、
中国ならば李白や杜甫、
そしてヨーロッパならばホメロスからダンテ、エズラ・パウンドまで。
生涯を旅と放浪に過ごした詩人は少なくない。
現代の詩人も、また旅をする。
詩にとって旅とは何か、旅の詩は、どうやって生まれるのか。
詩をこよなく愛し、アレン・ギンズバーグらとも親交があった
和多利志津子前館長を偲ぶポエトリー・イベント。
―― 城戸朱里 ――

(「詩の旅~旅の詩チラシより)



「詩の旅~旅の詩」と題した城戸朱里さん企画のトークとオープンマイクのイベントが1月17日(土)、ワタリウム美術館でありました。第一部は田村隆一さんのイギリス旅行の映像、白石かずこさんの若い頃の写真や日本での詩の活動の映像が映し出され、どちらもとっても興味深かったです。白石かずこさんの詩はふだんそれほど興味はないのですが、映像の中で詩について語る白石さんの言葉にインパクトがあって、これだけでも行った価値があると思いました。白石さんの若い頃の写真は私にはどれも初めて見るものばかりで、当時としてはかなり奇抜だっただろうファッションや、何よりモデル張りの抜群のスタイルは現代でも充分通用するはずで、時代を先取りした彼女のセンスには息を呑む思いでした。田村隆一さんの映像はイギリス旅行はもちろんのこと、日常の様子を語る悦子夫人や娘さんの話など、こちらも大変興味深かったです。


【詩の旅 ~ 旅の詩 トーク&オープンマイク】

第一部 アート・ドキュメンタリー Edge (製作テレコムスタッフ)上映
  白石かずこ篇(30分)
  田村隆一篇(30分)

第二部 トーク「旅する詩・詩からの旅」
  城戸朱里、和合亮一、石田瑞穂、暁方ミセイ、文月悠光、遠藤朋之(司会)

第三部 リーディング&オープンマイク
  朗読 文月悠光、暁方ミセイ、石田瑞穂、和合亮一
  希望者リーディング
(敬称略)


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司会をする城戸朱里さん
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by hannah5 | 2015-01-19 17:33 | 詩のイベント | Comments(0)

詩と思想新年会   


1月12日(月・祝日)、新人賞贈呈式を兼ねた詩と思想の新年会がありました(於ホテルグランドパレス)。ほとんどの方が1年に1度新年会でお会いするだけですが、親しく声をかけていただき、いろいろお話できたのはよかったと思います。今年の新人賞は花潜幸さんの「初めの頃であれば」が受賞しました。


【プログラム】

I.  第23回詩と思想新人賞贈呈式

   開会の言葉    一色真理
   来賓挨拶      細野豊、財部鳥子、西岡光秋
   選評         相沢史郎、高良留美子、森田進
   受賞者の表彰 
   受賞者紹介    相沢正一郎
   受賞者挨拶と受賞詩の朗読 花潜幸 「初めの頃であれば」
   花束贈呈

II. 懇親会

   最優秀新人表彰
   乾杯       菊田守
   スピーチ
   遠方会員紹介 小川英晴
   社主挨拶    高木祐子
   閉会の言葉   中村不二夫
   (敬称略)

詩と思想新人賞作品
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by hannah5 | 2015-01-13 20:26 | 詩のイベント | Comments(0)

私の好きな詩・言葉(164)   


琴爪橋


貨物列車がコンテナを載せず通り過ぎて
風だけが残った
踏切が上がると
どくたみの花の茂みがひっそりと明るく揺れている

我が家の庭も
春から雑草摘みをしてきたのに
まっすぐ茎を伸ばした十字の白い花で埋まっている
強めの匂いがあっても
空気を清らかにする力があると聞いて
頂き物の祝祭日には部屋いっぱいに花を飾る
煎じてお茶にすれば毒気も洗い流せると

部屋の模様替えは郷愁がして
無花果を買いに行く
熟さない知恵の木の実は摘まず
棕櫚の葉を避けて
退色した空の橋 踏み外さないよう
気をつけて渡る
樹々の爪弾きが行き止まりの木戸を開けてくれた
苔路に
置き去りにした
雑草を抜き取るように
別れ話をしたひとの背中は

ひっそりと明るくその花が揺れている

(宗田とも子詩集 『時を運ぶ折り舟のように』 より)

もう一篇
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by hannah5 | 2015-01-10 19:12 | 私の好きな詩・言葉 | Comments(2)

日本の詩を読む XII 第2回 ~西脇順三郎へのアプローチ~   


西脇順三郎の2回目の講義が1月5日(月)に行われました。今回のテーマは「『Ambarvaria』の衝撃」です。ambarvariaはギリシャ語で「穀物祭」とか「祝祭」という意味だそうです。『Ambarvaria』(1933)は2部に分かれていて、第1部は「Le Monde Ancien」(古代世界)、第2部は「Le Monde Moderne」(近代世界)となっています。西脇のわからなさは第1部より、主に第2部の散文詩にあるようです。私自身第1部には感嘆した作品が多かったのですが、第2部になると何を言っているのかさっぱりわからなくなって、読んでいるうちに眠ってしまうことも多々ありました。教室で野村喜和夫さんがいろいろ説明されたので、やっとなんとなく意味をとらえることができました。今回読んだ作品は「Le Monde Ancien」から「ギリシャ的抒情詩」(「天気」、「カプリの牧人」、「雨」、「太陽」、「眼」、「皿」)、「Le Monde Moderne」から「内面的に深き日記」、『あむばるわりあ』(1946)から「雨」と「眼」でした。


天気

(覆された宝石)のような朝
何人も戸口にて誰かとささやく
それは神の生誕の日



カプリの牧人

春の朝でも
我がシシリヤのパイプは秋の音がする
幾千年の思いをたどり





南風は柔い女神をもたらした
青銅をぬらした 噴水をぬらした
ツバメの羽と黄金の毛をぬらした
潮をぬらし 砂をぬらし 魚をぬらした
静かに寺院と風呂場と劇場をぬらした
この静かな柔い女神の行列が
私の舌をぬらした
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by hannah5 | 2015-01-06 19:42 | 詩のイベント | Comments(0)

あけましておめでとうございます   


皆さまにとって良い1年となりますように。
今年もよろしくお願いいたします。

はんな
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by hannah5 | 2015-01-03 23:09 | ご挨拶 | Comments(2)