<   2015年 05月 ( 4 )   > この月の画像一覧   

(天才の顔)   


b0000924_17422630.jpg
「天才の顔」
ルネ・マグリット


見ているものが見えず
食べているものが食べられず
はるかかなたの流れの中に
時間がたゆたう
聞き慣れぬ音
閉ざされた闇、または記憶
うっそうと茂る魑魅魍魎の優しさ
混沌のゆかしさ
あらゆるものは留まることを知らず
留められるものがあるとしたら
仮初めの自分の姿

(ルネ・マグリット展)

More
[PR]

by hannah5 | 2015-05-27 17:45 | 作品(2009~)

日本の詩を読む XIII ~石原吉郎を読む(第2回)   


5月17日の石原吉郎の講義は「石原吉郎へのアプローチ(2)」として、「位置」を中心に講義が行われました。「位置」にはさまざまな解釈がなされており、その中でも3つの解釈が主なものです。
① 銃殺刑の場面を描いている(山本太郎説)
② キリストの磔刑(安西均説)
③ 収容所から作業現場へ向かう時の隊伍

石原吉郎自身がエッセイ「一期一会の海」の中で「位置」について解説していますが、これはどうもわかりにくかったです。この解説よりむしろ友人鹿野武一のことを書いたエッセイ「ペシミストの勇気について」の方が「位置」の背景は明確になると思いました。



位置


しずかな肩には
声だけがならぶのでない
声よりも近く
敵がならぶのだ
勇敢な男たちが目指す位置は
その右でも おそらく
そのひだりでもない
無防備の空がついに撓(たわ)み
正午の弓となる位置で
君は呼吸し
かつ挨拶せよ
君の位置からの それが
最もすぐれた姿勢である

(石原吉郎詩集 『サンチョ・パンサの帰郷』 より)
[PR]

by hannah5 | 2015-05-21 17:30 | 詩のイベント | Comments(0)

星くず朗読会   


5月17日(日)、詩人の平岡淳子さんが主催される星くず朗読会に野村喜和夫さんがゲスト出演されました。会場は明大前にあるブックカフェ槐多。店主が村山槐多が好きで、槐多にちなんで名付けたというカフェで、中は20人も入ると一杯になってしまうくらい小さなカフェです。文学関係の蔵書が店内の書庫にぎっしり収められており、また槐多の絵やここでイベントを行った人たちの絵などが展示されていました。

前半は平岡さんが自作詩を朗読されました。平岡さんの詩は日常の生活に題材を取り、人生の中の一瞬の煌めきを簡潔な言葉で掬い上げているものが多いです。野村さんとはまったく違うタイプの詩ですが、こちらもとてもよかったです。

後半は野村さんの朗読で、ご自身のいろいろな詩集から何篇か読まれた後、最後にラベルの「ボレロ」をバックに、「そしてディープフィールド」をまるで即興詩のように朗読されました。即興詩のようにというのは、ボレロに合わせて最初に戻ったり途中で折り返したりと、即興的に詩の中を移動して朗読されたからです。この最後の朗読は非常によかったです。


b0000924_17285035.jpg
朗読する野村喜和夫さん

朗読された詩の中から
[PR]

by hannah5 | 2015-05-20 17:26 | 詩のイベント | Comments(0)

昼と夜の間で(光の帝国Ⅱ)   


(昼)迷走に。
あらゆるものの息を吸い込んで
労働が疲弊している
思い出という思い出が
時間の裏側へ流れていく
単純な思考を切り裂いて遊ぶ日常の下で
虚偽が明滅しながらまどろんでいる
眠ったまま迎える不安
さらに付け加えられる憂鬱

(夜)覚醒に。
あらゆるものの沈黙に浸って
栄華が快方に向かって進んでいる
永久に来ることのない安らかな夢の在り処を
探し続ける
次々と想起される街の中の散策と
それに伴う苦痛や後悔
目覚めて走り出す安らかな深淵

私たちに覆い被さるのは
よく晴れた午後の中で増殖する狂気?
それとも
束縛から解放されて浮遊する自由?


b0000924_0142595.jpg
「光の帝国Ⅱ」


(ルネ・マグリット展にて)

More
[PR]

by hannah5 | 2015-05-17 00:15 | 作品(2009~)