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詩と思想詩人集2015   


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詩と思想詩人集2015が刊行されました。
総勢447人の詩人のアンソロジーです。
私も参加しました。
よろしければ、読んでみてください。
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by hannah5 | 2015-07-31 13:03 | 投稿・同人誌など | Comments(0)

詩誌喜和堂3号   


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詩誌喜和堂3号が出ました。今回の喜和堂にはいつもの詩、散文、連詩の他に、ルネ・マグリット展を鑑賞して詩を書くという新しい企画が加わり、また参加者も増えて、読み応えのある1冊に仕上がりました。

参加者:
野村喜和夫、芦田みのり、有泉はるみ、伊藤浩子(ルネ・マグリット展のみ)、岩切正一郎、唐作桂子、来住野恵子、颯木あやこ、佐峰存、そらしといろ、中家菜津子、葉山美玖、はんな、森川雅美、山腰亮介、渡辺めぐみ
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by hannah5 | 2015-07-19 18:59 | 投稿・同人誌など | Comments(0)

日本の詩を読む XIII ~石原吉郎を読む(第7回)   


7月13日(月)は「石原吉郎を読む」の最終講義でした。今回のテーマは「石原吉郎と私たち」で、戦後石原吉郎がどのように人々に読まれていったかを中心に講義が行われました。読んだ作品は「耳鳴りのうた」と「フェルナンデス」です。「耳鳴りのうた」は石原吉郎自身も気に入っていた作品です。わかりにくい部分はあるものの、私自身もこの作品は好きです。「フェルナンデス」は野村さん自身が読んで涙を流すほど感銘を受けられた作品です。




耳鳴りのうた


おれが忘れて来た男は
たとえば耳鳴りが好きだ
耳鳴りのなかの たとえば
小さな岬が好きだ
火縄のようにいぶる匂いが好きで
空はいつでも その男の
こちら側にある
風のように星がざわめく胸
勲章のようにおれを恥じる男
おれに耳鳴りがはじまるとき
そのとき不意に
その男がはじまる
はるかに麦はその髪へ鳴り
彼は しっかりと
あたりを見まわすのだ
おれが忘れて来た男は
たとえば剥製の驢馬が好きだ
たとえば赤毛のたてがみが好きだ
銅鑼のような落日が好きだ
笞へ背なかをひき会わすように
おれを未来へひき会わす男
おれに耳鳴りがはじまるとき
たぶんはじまるのはその男だが
その男が不意にはじまるとき
さらにはじまる
もうひとりの男がおり
いっせいによみがえる男たちの
血なまぐさい系列の果てで
棒紅のように
やさしく立つ塔がある
おれの耳穴はうたがうがいい
虚妄の耳鳴りのそのむこうで
それでも やさしく
立ちつづける塔を
いまでも しっかりと
信じているのは
おれが忘れて来た
その男なのだ

(詩集 『サンチョ・パンサの帰郷』 所収)





フェルナンデス


フェルナンデスと
呼ぶのはただしい
寺院の壁の しずかな
くぼみをそう名づけた
ひとりの男が壁にもたれ
あたたかなくぼみを
のこして去った
    <フェルナンデス>
しかられたこどもが
目を伏せて立つほどの
しずかなくぼみは
いまもそう呼ばれる
ある日やさしく壁にもたれ
男は口を 閉じて去った
    <フェルナンデス>
しかられたこどもよ
空をめぐり
墓標をめぐり終えたとき
私をそう呼べ
私はそこに立ったのだ

(詩集 『斧の思想』 所収)
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by hannah5 | 2015-07-17 12:02 | 詩のイベント | Comments(0)

野川朗読会6   


そうかわせみ、の会主催の野川朗読会が7月12日(日)、成城ホールで行われました。今回で6回目となる野川朗読会ですが、今年は新しいメンバーが加わり、プログラムの大筋は変わらないものの、参加者一人一人がそれぞれ趣向を凝らして参加されていたのが印象的でした。

今回のテーマは「無敵のひとこと」で、参加者がそれぞれテーマに沿って思いついたことを言うというもので、突拍子もない無敵のひとことだったり、意味不明だけれどよく心に浮かんでくる言葉だったり、面白かったです。(全部書き留めておけばよかったと後で思いました。)(杉本真維子さんとたまたま隣の席になり、少しお話しました。)


【プログラム】

● 一部

朗読: 伊藤浩子、小笠原鳥類、渡辺めぐみ、新井高子、生野毅(+入沢明夫ocarina)、そらしといろ
対話: 長野まゆみ×そらしといろ×田野倉康一

● 二部

朗読: 長野まゆみ、田野倉康一、樋口良澄、杉本真維子、一色真理、岡島弘子

司会: 一色真理
(敬称略)


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詩集『裾花』を朗読中の杉本真維子さん
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by hannah5 | 2015-07-14 19:35 | 詩のイベント | Comments(0)

私の好きな詩・言葉(165)   


きれいに食べている


宝石を見つけるように、きれいな言葉がひとつ見つかりました。
瓦礫の中から、母親が見つけたのでした。

「毎日新聞のニュースサイトに4月、東日本大震災で亡くなった息子の弁当箱を、かれきの中から発見した両親の記事が掲載された。母親は弁当箱が空なのを確認し、『きれいに食べている』と嗚咽したという。」*

母親は、子どもが持って帰るお弁当箱を洗うとき、開けてみて中身が
「空っぽ」だったら、うれしい。

「あ、ぜんぶ食べてくれてる」という、一つは作り手の嬉しさと
「全部食べて、栄養になってる」きょうも元気に育ってくれているという
親ごころの嬉しさの二つで
からっぽのべんとうばこは、ははおやを幸せにする。

がれきの中から、見つけた弁当箱が、その「空っぽ」が、
いっしゅん普段の「しあわせ」を母親によびもどしてくれたのだと、おもう。
――ちいさな奇跡が、母親の暗い心に、ひかりをまぜた。

「きれいに食べている」ひとつめで、母親は、うれしくて。
「きれいに食べている」ふたつめで、母親は、おえつした。

台所で、いつでもそばにあった、ことば。
お弁当箱を開けるだけで、いつも出てきた、ことば。
「あ、きれいに食べている」

胸の中で、くりかえし、つかった、普段のことば。
瓦礫の中から、弁当箱いっしょに出てきた、わたしのことば。
「きれいに食べている」

責めも、うらみも、悲しみもの、何にもつかまっていない
――何もはいっていない

空っぽの「きれいな弁当箱」が、
まるで、息子の開けてくれた、きれいな気持ちのように、見える。

――「きれいに食べている」

この母親の「きれいな言葉」に、
きれいに食べて、「空っぽの弁当箱」に、
わたしは、今回の震災で、

いちばん、ないて
しまいました。

それは、いっしゅん、陽が射すように、深い悲しみの中に
つかの間、うれしさが、混ざり込んで、くれた

ありがたさから
だったとおもいます。

*引用部分

(宮尾節子詩集 『明日戦争がはじまる』 より)

ひと言
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by hannah5 | 2015-07-11 21:05 | 私の好きな詩・言葉 | Comments(0)

新井豊美評論集出版記念会   


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新井豊美さんの2冊の遺稿評論集『「ゲニウスの地図」への旅』と『歩くための地誌』の刊行を記念して、7月4日(土)、シンポジウムと出版記念会が行われました。シンポジウムは特に新井さんと親交の深かった6人の詩人たちによって、新井さんの思い出や新井さんの詩論への解釈、反論、疑問など深く掘り下げた討論が行われ、3時間にわたるシンポジウムは大変中身の濃いものとなりました。また、その後場所を変えて行われた出版記念会では、詩人だけでなくさまざまな分野で新井さんと交流のあった人達が故人の思い出を語るなど、こちらも中身の濃い交わりとなりました。印象深かったのは、長く海外で暮らしてこられたという方が、新井さんの遺稿を散逸させないための仕事をこれからしていくつもりだと言われたことです。荻窪の詩の教室で新井さんが教えられていた頃、一緒に学んでいた方たちも何人か見えていて、個人的にも懐かしいひと時をもたせていただきました。

◎シンポジウム(13.30~)
出演:福間健二、瀬尾育生、水島英巳、倉田比羽子、井坂洋子、添田馨(敬称略)
場所:東京堂ホール6F

◎出版記念会(17.15~)
場所:放心亭


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by hannah5 | 2015-07-06 20:42 | 詩のイベント | Comments(0)