「日本の詩を読む/世界の詩を読むI 」第3回「改作枕草子あるいは現代詩のもうひとつの起源」   


第3回目の野村さんの講義は「枕草子は現代詩の起源である」を定義に、枕草子がどのように現代詩と関わっているか、現代詩の詩人たちにどのような影響を与えてきたか等を中心に行われました(6/25)。

現代詩を読むのもいいのですが、やはり日本の文学は古典抜きにしては考えられないし、古典文学がバックボーンとなって初めて良い詩が書けるのではないか-そんな思いがずっとあって、以前から野村さんに万葉集のような古典を読んでみたいとお願いしていました。そのような訳で野村さんが考えてくださったのが枕草子を現代詩の起源と見る方法です。

講義の詳しい内容はここでは省きますが、さまざまな詩人たちが枕草子を愛読していたり、枕草子から影響を受けたりしていることは私にとっては新しい発見であると同時に、やっぱりね、という思いを抱きました。講義で読んだ作品は 『新潮日本古典集成 枕草子上下』 から「第百四十六段」、西脇順三郎の 『旅人かへらず』 から2から9まで、入沢康夫の「わが出雲」、中江俊夫の「語彙集第九十章」、谷川俊太郎の「生きる」、野村さんの「エクササイズ」、そして野村さんが枕草子を詩に書いてみられた「清少納言詩集」(これはたぶん門外不出)などでした。

次回の講義は9月、ランボーです。


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# by hannah5 | 2017-07-03 21:10 | 詩のイベント | Comments(0)

日本の詩祭2017   


6月18日(日)、日本現代詩人会主催の「日本の詩祭2017」がありました(於ホテル・メトロポリタンエドモント)。H氏賞は北原千代さんの 『真珠川 Barroco』 が受賞し、現代詩人賞は中村稔さんの 『言葉について』 が受賞しました。また、先達詩人への顕彰は木村迪夫さん、菊田守さん、財部鳥子さんが受賞されました。

第二部は「琉球歌謡のことばと表現」と題して、波照間永吉さんが沖縄の歴史や民族性、言葉や琉球音楽等、多岐にわたって講演されました。私にとってはまったく初めての話題でしたので、少し入り込みにくかった部分もありましたが、知人にも沖縄の人が何人かいますので、興味を引かれました。その後の男性5人によるアカペラは初めて知るグループでしたが、とてもよかったです。


【プログラム】

[Ⅰ部]

総合司会                         田村雅之
司会                            塚本敏雄、草野理恵子

開会のことば                       新延拳

第67回H氏賞贈呈
  選考経過報告                    八木忠栄
  H氏賞贈呈                      以倉絋平
  受賞詩集 『真珠川 Barroco』 について     瀬崎祐
  受賞のことば                     北原千代

第35回現代詩人賞贈呈
  選考経過報告                    倉橋健一
  現代詩人賞贈呈                   以倉絋平
  受賞詩集 『言葉について』 について       高橋順子
  受賞のことば                     中村稔/中村あさこ(体調を崩された稔氏に代わって)

先達詩人への顕彰
  先達詩人への敬意・記念品贈呈        以倉絋平
  先達詩人のことば                 木村迪夫
  先達詩人のことば                 菊田守
  先達詩人のことば                 財部鳥子

詩朗読
  H氏賞受賞詩集 『真珠川 Barroco』 より  北原千代
  現代詩人賞受賞詩集 『言葉について』 より 中村稔


[Ⅱ部]

講演                           波照間永吉 「琉球歌謡のことばと表現」
歌声アルバム                     ベイビー・ブー 「故郷の歌」ほか
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閉会のことば                     田村雅之
(敬称略)



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# by hannah5 | 2017-06-21 20:30 | 詩のイベント | Comments(0)

爆弾   


涙という
破裂しそうな爆弾を
抱えて歩く
歩く

爆弾は
破裂しそうに膨らんで
雨の中を歩く
歩く

切り傷を
しゅっしゅっとつける爆弾に
小さくつけて歩く
歩く

雨脚が
舗道に落ちてもつれるように
トゥララと歩く
歩く

躍る雨
跳ねて飛び飛んでは跳ねて
トゥララと落ちる
落ちる

歩くたび
こぼれて落ちる爆弾が
ひとつずつ
ひとつずつ


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# by hannah5 | 2017-05-19 20:37 | 作品(2009~)

緑宴   


緑の中から
緑が溢れる

緑の向こうで
緑がうねる

そのまた向こうで
緑が緑を掻き回す

左へなびき右へなびき
緑がからからと高笑いする

屋根の上を
緑が覆い被さり
バリトンの協奏曲を振り回す

あの中で生まれた烏たちは
黒じゃダメだ!
緑に着替えて出直しな!
と一日中うるさい

その隣で
ひときわはしゃぐのは
若い緑たち
長い手をぶんぶん振り回しては
いつまでも遊んでやろうと企てる

緑の陰が
たわわに噴きあげるころ
ぽってりと太った碧い実たちが
緑の風を呑み続けるようになる



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# by hannah5 | 2017-05-05 18:41 | 作品(2009~)

野村喜和夫現代詩講座「日本の詩を読む/世界の詩を読むI ~ 現代詩と古典」 第1回「大岡信」   


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野村喜和夫さんが講義される現代詩の講座「日本の詩を読む/世界の詩を読む」が今月から始まりました。これは3月まで淑徳大学池袋サテライトキャンパスで行われていた「日本の詩を読む」の続きですが、淑徳大学サテライトキャンパスが閉鎖されたため、今月開設されたエルスールカフェ(エルスール記念館/野村喜和夫記念館内)に場所を移してスタートしたものです。そして、今回から日本の詩だけでなく世界の詩も読むことになりました。

初回とあって淑徳大学で講義を受けていた受講生だけでなく、野村さんが新宿と横浜の朝日カルチャーセンターで講義をされている教室の受講生も参加して、総勢15名のクラスとなりました。淑徳大学の時は多くてもせいぜい8名くらいだったのですが、15名ともなるとさすがに大きく感じます。意見や質問などで活気溢れるクラスになりました。

今回のシリーズは7月までで、毎月第4日曜日の午後3時から5時まで講義が行われます。1回目の昨日は先日86歳で亡くなった大岡信さんが取り上げられました。読んだ作品は「地名論」、「さわる」、「水底吹笛」でした。他に、野村さんが毎日新聞に寄稿された追悼文「理論と実践 現代詩支え 大岡信さんを悼む」も配布されました。

講義の後は7名ほどで中国人がやっている中華料理屋へ繰り出し、そこでも文学論、詩論、意見、質問等々で盛り上がりました。料理はどれもとてもおいしくて、私は少しだけ紹興酒をいただきましたが、皮蛋とよく合ったし、料理の話でも盛り上がりました。次回の講義は5月14日の予定です(5月だけ第2日曜になります)。




地名論


水道管はうたえよ
御茶の水は流れて
鵠沼に溜り
荻窪に落ち
奥入瀬で輝け
サッポロ
バルバライソ
トンプクトゥーは
耳の中で
雨垂れのように延びつづけよ
奇態にも懐かしい名前をもった
すべての土地の精霊よ
時間の列柱となって
おれを包んでくれ
おお 見知らぬ土地を限りなく
数えあげることは
どうして人をこのように
音楽の房でいっぱいにするのか
燃えあがるカーテンの上で
煙が風に
形をあたえるように
名前は土地に
波動をあたえる
土地の名前はたぶん
光でできている
外国なまりがベニスといえば
しらみの混ったベッドの下で
暗い水が囁くだけだが
おお ヴェネーツィア
故郷を離れた赤毛の娘が
叫べば みよ
広場の石に光が溢れ
風は鳩を受胎する
おお
それみよ
瀬田の唐橋
雪駄のからかさ
東京は
いつも
曇り



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# by hannah5 | 2017-04-25 00:04 | 詩のイベント | Comments(0)

訃報   


また一人偉大な詩人が逝った。
私の好きな詩人の一人でした。


大岡信さん死去


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# by hannah5 | 2017-04-06 20:29 | ご挨拶 | Comments(0)