譚詩舎文学サロン   


11月3日(祝・木)、譚詩舎主催による立原道造についての講演がありました(於新宿歴史博物館)。今回の講演は「立原道造―現代詩へとつづく道」と題され、吉田文憲さんと野村喜和夫さんが立原道造と現代詩との関わりについてそれぞれの研究/発見から講義されました。最近少し忙しくなってイベントがある日はなかなか時間通りに到着できないことが多く、文憲さんが非常に緻密な講義をされていたのに、残念ながら文憲さんの講義を聴き逃してしまいました。


「立原道造―現代詩へとつづく道」

第一部  立原道造 詩「小譚詩」を巡って
       吉田文憲

第二部  立原道造と石原吉郎
       野村喜和夫

第三部  スピーチ・座談会




祈り


  石原吉郎


祈りは ことのほか
やさしかった
悔多い やわらかな
てのひらのなかで

祈ることは やはり
うれしかった
てのひらのなかで 風が
あたたかにうごいた

祈りのなかで
午前がすぎそして
午後がかさなった
時刻はさみしく しかし
きよらかにすぎた

夜がきて 星がかがやいた
私はその理由を考えなかった
私は てのひらのなかで
夜あけまで起きていた

(野村喜和夫さん配布の資料より。恐らく立原道造の影響が残る詩-野村さん曰く)



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# by hannah5 | 2016-11-12 21:13 | 詩のイベント | Comments(0)

日本の詩を読むXI ~ 緊急的戦後詩再読提言(第1回)   


野村喜和夫さんが講義される「日本の詩を読む」が始まりました。戦後70年、ずっと平和を享受してきた日本ですが、ここへきて少し不穏な気配が漂うようになりました。そのせいかどうかわかりませんが、今戦後詩が読み直されているようです。そこで11回目の「日本の詩を読む」は戦後詩を読むことになりました。(野村さんは最近台湾へ行かれていたせいか、タイトルは漢字ばかりです(笑))1回目の10月31日は鮎川信夫についての講義でした。読んだ詩は「死んだ男」と鮎川信夫が18歳の時に書いたという「扉の中」でした。




死んだ男


たとえば霧や
あらゆる階段の跫音のなかから、
遺言執行人が、ぼんやりと姿を現す。
――これがすべての始まりである。

遠い昨日・・・・・
ぼくらは暗い酒場の椅子のうえで、
ゆがんだ顔をもてあましたり
手紙の封筒を裏返すようなことがあった。
「実際は、影も、形もない?」
――死にそこなってみれば、たしかにそのとおりであった。

Mよ、昨日のひややかな青空が
剃刀の刃にいつまでも残っているね。
だがぼくは、何時何処で
きみを見失ったのか忘れてしまったよ。
短かかった黄金時代――
活字の置き換えや神様ごっこ――
「それがぼくたちの古い処方箋だった」と呟いて・・・・・

いつも季節は秋だった、昨日も今日も、
「淋しさの中に落葉がふる」
その声は人影へ、そして街へ、
黒い鉛の道を歩みつづけてきたのだった。

埋葬の日は、言葉もなく
立会う者もなかった、
憤激も、悲哀も、不平の柔弱な椅子もなかった。
空にむかって眼をあげ
きみはただ重たい靴のなかに足をつっこんで静かに横たわったのだ。
「さよなら、太陽も海も信ずるに足りない」
Mよ、地下に眠るMよ、
きみの胸の傷口は今でもまだ痛むか。





扉の中


カレンダーに音楽が流れ
華の咲いてゐるテーブル
竜舌蘭を食べてゐる紳士は
今晩十二時に出帆します
海に向って帽子をふって
震へてゐる爪に霧がかかる

杳い寒帯から運ばれたミルクに溺れる頃
扉の外をマアチが風と共に過ぎる
盛んに蠟を焚く女のプロフィル
海の景色はこんなに暗い青でせうか

油絵の裏に隠れてゆく黄ろい月
軍艦はシーツの皺に沈没する
窓を開けると雪が踊ってゐる
逃げてゆくのは白い犬だ
雪に埋まる扉





【緊急的戦後詩再読提言-講義予定】

1.鮎川信夫Ⅰ
2.鮎川信夫Ⅱ
3.田村隆一
4.北村太郎
5.石原吉郎・吉岡実
6.吉本隆明
7.谷川雁・黒田喜夫




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# by hannah5 | 2016-11-05 23:33 | 詩のイベント | Comments(0)

Pegasus vol. 2  颯木あやこ朗読会   


10月30日(日)、颯木あやこさんの第三詩集 『七番目の鉱石』 が第26回日本詩人クラブ新人賞を受賞したことを記念して、朗読会が行われました(於阿佐ヶ谷ネクストサンデー)。颯木さんの朗読には長谷川健治朗さんのピアノ伴奏と三上その子さんのダンスがコラボされました。ピアノもダンスも詩のイメージとモチーフをよく生かして創作され、三者が時に激しく時に優しく絡み合い、言葉を超えた深みと広がりが醸し出されていたと思います。朗読は 『七番目の鉱石』 の作品の他に、第一、第二詩集から一篇ずつと新作四編も含まれていて、『七番目の鉱石』 の作品しか知らなかった私にはとても新鮮でした。


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朗読中の颯木あやこさん



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長谷川健治朗さんのピアノと三上その子さんのダンスと



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対談中の颯木あやこさんと山田篤朗さん




【プログラム】

一部  朗読と共演  颯木あやこ(朗読)、長谷川健次郎(ピアノ)、三上その子(ダンス)
二部  トーク「鉱石のゆくえ」 山田篤朗、颯木あやこ
(敬称略)

                                颯木あやこ・長谷川健治朗共同プロデュース
                                葛原りょう監修
                                協賛 思潮社、丘のうえ工房ムジカ




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# by hannah5 | 2016-11-02 21:20 | 詩のイベント | Comments(0)

詩と思想   


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詩と思想11月号に作品「釈然としていた頃」で参加させていただきました。
「釈然としない」が正しい使い方ですが、実験的に言葉を造ってみました。
新井豊美さんが亡くなってから出版された新井さんの評論集に寄せて書いた作品です。

詩と思想11月号
定価 1,300円+税
出版 土曜美術社出版販売



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# by hannah5 | 2016-10-28 19:40 | 投稿・同人誌など | Comments(0)

現代詩研究会シンポジウム   


10月15日(土)、詩と思想編集委員会主催による現代詩研究会のシンポジウムがありました(於早稲田奉仕園スコットホール)。シンポジウムは詩と思想の初代編集長から現在の編集長に至る4名の方がパネラーとして登場し、詩と思想における戦後詩から現代詩への継承と発展など、編集長としてかかわった時の体験や苦労、発見、自分が始めた特集やもっとも強く印象に残った出来事等が語られ、かなり内容の濃いシンポジウムでした。

詩と思想はとかく現代詩手帖を対抗馬のように意識することが多いのですが、どのパネラーの方からも伺えたのは、詩と思想に対する思い入れと深い愛着です。詩と思想は優れた詩人を数多く輩出している出版社であり、現代詩手帖とは一味もふた味も違う詩と思想にしか持ちえない視点や特色があり、そのことを大事にしていけばよいと私は常に思っています。


【現代詩研究会プログラム】
~「詩と思想」歴代編集長が語る「戦後詩の継承と発展」~

開会の言葉  中村不二夫

来賓挨拶    麻生直子、太田雅孝

シンポジウム
  パネラー:  高良留美子、葵生川玲、森田進一、一色真理
           中村不二夫(コーディネーター)

開会の言葉   高木祐子
(敬称略)

主催: 詩と思想編集委員会




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# by hannah5 | 2016-10-22 21:16 | 詩のイベント | Comments(0)

ノーベル文学賞   


今年のノーベル文学賞はボブ・ディランが受賞しました。
これにはびっくりです!
ボブ・ディランさんにノーベル文学賞(朝日新聞)

村上春樹さんはまた逃しましたね。
ファンはさぞ残念な思いをしていることでしょう。



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# by hannah5 | 2016-10-13 21:45 | ご挨拶 | Comments(0)