涙のひと粒
2009年 04月 25日
ときどき
わけもなく
ひたすら
泣いていたくなる
涙がひと粒落ちるたびに
閉まっていた扉が
少しずつ開く
もらった心は
いくつ集まったのだろう
心をあげて
心をもらって
あたため合った日々が
手のひらに
ぽとんと落ちる
それを耳に当てて
じっと聴く
わたしが笑った日
あなたが笑った日
心と心を擦り合わせたら
シュッと火が燃えて
ろうそくのように
いつまでも消えなかった日
雨も降ったし
風も吹いたし
大嵐が来たこともあった
小さなドロップのように
口の中で
甘くて酸っぱくて
溶けてしまった日もあった
涙は
いつまでも落ちるから
わたしはいつまでも
いつまでも
もらった心を離さない
楽しかったのに
やさしかったのに
いとしかったのに
あなたにあげた
わたしの心は
あなたの中で
何色になりましたか
あなたからもらった
あなたの心は
想うたびに
紅くなったり
蒼くなったり
レモン色になったり
もらった心たちを
見つめていると
ときどき
わけもなく
ただ悲しくなる
(『ネットの中の詩人たち 5』 所収)
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by hannah5 | 2009-04-25 13:11 | 投稿・同人誌など