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雄弁が泣かないうちに   


目が
爆弾のように大きくなり始める午前二時
窪みから落ちてしまいそうな目の玉を抱えて
生まれてきそうだなんて
窪みの隙間から
ごろりんごろりんと落ちてくる やさしい音色よ

ちょうどそれは
爆弾と炸裂が交代する時間で
沸き立つような閃光が開く瞬間の
こことこことここと

あだ花で終わってしまわないうちに
ひと粒ずつつまみあげては貼りつけていく

黙っていてはいけないのです
昼間はさんざん黙っていましたからね
活発に喋り始める今こそ
雄弁がミルクいろしてうつくしく

それにしても知っていましたか
目の玉って意外に大きい
一回転、
二回転、
三回転、
廻るたびに大きくなるらしく
きつくなる窪みから
転がっていってしまいますよ よく注意していないと
そうしたらせっかくつまみあげて貼りつけたのに
雄弁が泣きますよ

-早く引きずり出しておくれ
-早く引きずり出して食べておくれ

小さな胸が張り裂けそうに口をあけている
午前三時が過ぎ午前四時が消えるころ
我慢できなくなった目の玉が
煙をもくもく吐き出して
隙間をつぶしそうになる

やっと我に返ったわたしは
鬼のように追いかけて
粒を拾っては数珠つなぎにしていく

(新現代詩8号所収)






合評会

10月25日(日)、午後1時から新現代詩の合評会がありました。
場所は大手町の文藝学校の教室。
大変参考になる評をいただきました。

この詩は実験的に書いた作品です。

by hannah5 | 2009-10-26 23:45 | 投稿・同人誌など

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