雄弁が泣かないうちに
2009年 10月 26日
目が
爆弾のように大きくなり始める午前二時
窪みから落ちてしまいそうな目の玉を抱えて
生まれてきそうだなんて
窪みの隙間から
ごろりんごろりんと落ちてくる やさしい音色よ
ちょうどそれは
爆弾と炸裂が交代する時間で
沸き立つような閃光が開く瞬間の
こことこことここと
あだ花で終わってしまわないうちに
ひと粒ずつつまみあげては貼りつけていく
黙っていてはいけないのです
昼間はさんざん黙っていましたからね
活発に喋り始める今こそ
雄弁がミルクいろしてうつくしく
それにしても知っていましたか
目の玉って意外に大きい
一回転、
二回転、
三回転、
廻るたびに大きくなるらしく
きつくなる窪みから
転がっていってしまいますよ よく注意していないと
そうしたらせっかくつまみあげて貼りつけたのに
雄弁が泣きますよ
-早く引きずり出しておくれ
-早く引きずり出して食べておくれ
小さな胸が張り裂けそうに口をあけている
午前三時が過ぎ午前四時が消えるころ
我慢できなくなった目の玉が
煙をもくもく吐き出して
隙間をつぶしそうになる
やっと我に返ったわたしは
鬼のように追いかけて
粒を拾っては数珠つなぎにしていく
(新現代詩8号所収)
合評会
10月25日(日)、午後1時から新現代詩の合評会がありました。
場所は大手町の文藝学校の教室。
大変参考になる評をいただきました。
この詩は実験的に書いた作品です。
by hannah5 | 2009-10-26 23:45 | 投稿・同人誌など