灰いろの朝
2009年 12月 29日
小さな肩をすくめてじっと視る先に
雨だれが灰いろの朝の
ベランダに落ちつづける
風に舞う木の葉に見とれて
思わず背伸びしたまま飛びだしそうになる
心臓の鼓動がとくとくとくとく
と打ちはじめるから
茂った葉と葉の間に見え隠れするメジロに
やわらかな毛皮が小刻みに地団駄を踏む
網戸のこちら側
抱きあげれば簡単に離れてしまう
足元の薄い響き
二キロにも満たない小さな体を放りあげると
そのまま粉々に砕けて
霧のように消えてしまいそうだ
階段の一番上から遠慮がちに下を見る
一段、一段、一段、
考えながら降りてくる
流しで水仕事をしている私のうしろにそっと近寄り
ひと呼吸置いて
坐る
捨てられるはずだった
そのまま箱に入れられて
私の足元に流れついた
やわらかな前足が
私の足にぽぽぽと触れる
by hannah5 | 2009-12-29 20:41 | 作品(2009~)