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灰いろの朝   


小さな肩をすくめてじっと視る先に
雨だれが灰いろの朝の
ベランダに落ちつづける

風に舞う木の葉に見とれて
思わず背伸びしたまま飛びだしそうになる
心臓の鼓動がとくとくとくとく
と打ちはじめるから

茂った葉と葉の間に見え隠れするメジロに
やわらかな毛皮が小刻みに地団駄を踏む
網戸のこちら側

抱きあげれば簡単に離れてしまう
足元の薄い響き
二キロにも満たない小さな体を放りあげると
そのまま粉々に砕けて
霧のように消えてしまいそうだ

階段の一番上から遠慮がちに下を見る
一段、一段、一段、
考えながら降りてくる
流しで水仕事をしている私のうしろにそっと近寄り
ひと呼吸置いて
坐る

捨てられるはずだった
そのまま箱に入れられて
私の足元に流れついた

やわらかな前足が
私の足にぽぽぽと触れる

灰いろの朝_b0000924_20431726.jpg

by hannah5 | 2009-12-29 20:41 | 作品(2009~)

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