ミルクいろした日
2010年 09月 11日
もしも
あなたを失くしてしまったら
いい詩が書けるのかもしれない
*
落ちていく闇の底に腰かけて
睡魔につぶされないように
白いノートブックを見つめていた
脂と煙の漂う店の片隅で
毎晩同じ安いコーヒーを買った
ころがっていくもの
ねじれて落ちてくるものが
現れては消える
追いかけてつかんでみると
幻のような欠片が
切れ切れにつながっては離れていく
さまよい闇にまぎれ遠くを偲び
睡眠と覚醒のわずかな隙間の
もっとも奥まったところに
苔のようにうすみどりいろした断片が
こびりついているのを
こそげ落としては拾った
*
あのいびつな夜が
もう現れなくなったことの
不安を抱える
++
二人の良い師に恵まれました。
一人は野村喜和夫さん。
すでに「日本の詩を読む」と題した講義で、現代詩に足跡を残した詩人たちの作品を読んできました。
10月からまた講義が始まりますが、今度はテーマを決めて講義がなされます。
もう一人は新井豊美さん。
私の実作の師でもありますが、やかりこの秋から現代詩に足跡を残した詩人たちの背景と作品を学びます。
私にとって実作は大事ですが、それだけでは骨組みが弱い気がします。
現代の詩に至るまでの歴史や背景、詩に影響を与えた社会的現象など、詩を取り巻く広範な環境を学んでいくことは、実作には直接すぐには現れてきませんが、長い目で見れば基本を固めることができるものと考えます。
この秋から始まる学びです。
静かで地道な時間、至福の時間でもあります。
by hannah5 | 2010-09-11 23:32 | 作品(2009~)