創世―― ウニャ・ラモスに
2014年 12月 11日
始まりの初めに
あなたが立っていたことを知らなかった
固く閉ざしたままの乳白色
触れたことのない息遣い
触れられたことのない熱
疼くように潜んだまま 身じろぎもせず
平らにならした表面の下で
長く じっと
予感とも呼べないほどの微かな震えが
幾重にも重なるように打ち寄せ
受け止めようとする両方の手のひらに
溢れるように落ち始めたそれら
射し込む葦笛の音
魂のひだが隙間もないほど揺れて
熱をもち倦んでいく
密かに匂うゆらめきの
小さな痛み
倦み疲れることに憧れ
けれど 踏み出せないまま
叩かれる音
空気を突き刺して
魂のひだをばらばらに切り離しては
あちこちに散らばったそれらをかき集め
握りしめる
手の中で
呻き声をあげて はじき出ようとする
寄せては返し
寄せては返す
あの向こうに見えた
大きな月の光を
かき抱いて
※ウニャ・ラモス(1933―2014)。アルゼンチンの音楽家、作曲家、ケーナ奏者。代表作に Una Flauta En La Noche、Eve、Puente De Madera (シャルル・クロス・アカデミー賞受賞)、La princes del mar などがある。
by hannah5 | 2014-12-11 23:06 | 投稿・同人誌など