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私の好きな詩・言葉(39) 「ニーバーの祈り」 (The Serenity Prayer)   

シンガポールの友人からお土産にもらった小さな卓上用飾り板に英語で書いてあったのは、"The Serenity Prayer"(「冷静さの祈り」)でした。当時、祈りについて疑問を感じていた私はこの言葉に救われた思いがしました。変えることのできるものを変える勇気と変えられないことを受け入れる冷静さ(「心の静けさ」と訳しているものもあります)。両者の違いを識別することはなかなかむずかしいことですが、変わる状況においても変わらない状況においても、常に心に静けさをもち最善を模索しながら生きることが大切ではないかと思います。


The Serenity Prayer

God, grant me the serenity
to accept the things I cannot change,
courage to change the things I can,
and wisdom to know the difference.

神よ
変えることのできるものについて
それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては
それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを
識別する知恵を与えたまえ。


(ラインホールド・ニーバー "The Serenity Prayer"、大木英夫訳)

The Serenity Prayer
ニーバー



「ニーバーの祈り」は、アメリカの神学者であり牧師でもあったラインホールド・ニーバーが、1943年の夏、マサチューセッツ州西部の小さな教会で説教したときにした祈りの言葉だと言われています。しかし、この祈りの作者は18世紀の神学者フリードリッヒ・クリストーフ・エーディンガーだという説や14世紀の一兵士の祈りであったという説、古代アラビアから伝わってきた祈りだという説もあります。また、上の英文とは異なる祈りや、付加された祈りがあるものなどがあり、実際にはその作者はわかっていません。しかし、どのような文にせよ、神の知恵を知り、心の静けさと幸福を得る祈りとして、参考になると思います。


God, grant me the serenity
to accept the things I cannot change,
courage to change the things I can,
and wisdom to know the difference.

Living one day at a time,
Enjoying one moment at a time,
Accepting hardships as the pathway to peace.

Taking, as He did, this sinful world as it is, not as I would have it.
Trusting that He will make all things right if I surrender to His Will.
That I may be reasonably happy in this life,
and supermely happy with Him forever in the next.

Amen

神よ
変えることのできるものについて
それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては
それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを
識別する知恵を与えたまえ。

いっときに、一日だけを生き
いっときに、一瞬だけを喜ぶ。
苦しみも平和へ続く道として受け入れ
イエスの如く、この罪深い世界をあるがままに理解して後悔せず
主の意志に身をゆだねれば、すべてをあるべき姿にしてくれると信じて
そして、現世では適度の幸福を
来世では、主と共に至高の幸福を感じることができるように。

アーメン


もうひとつの英文

God, grant me the serenity
to accept the things I cannot change,
courage to change the things I can,
and the wisdom to distinguish the one from the other.




ラインホールド・ニーバー(1892-1971)

アメリカの神学者。イェール大学神学博士。1928年にニューヨークのユニオン神学校の宗教哲学助教授になるまで、デトロイト市で牧師をしていた。フォード社の労働者の悲惨をみたことから、マルキシズムを学び、労働運動に参加した。1960年に定年退官するまでの30年間、キリスト教倫理学の教授をした。主な著書に『道徳的人間と非道徳的社会』(1932)、『キリスト教と権力政治』(1940)、『人間の本性と運命』(1941-1943)、『光の子と闇の子』(1946)などがある。

by hannah5 | 2005-05-01 18:12 | 私の好きな詩・言葉

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