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無題   


この風を私は知っている
ある時、ふっくらと
私の傍を吹いていた
光の中でとまどうように流れ
ぢっと振り返っていた
それから桜の花をひとわたり
散らすと 向こうへ
行ってしまった

目をつぶって聞いてみるがよい
おどおどしながら
いつかのように口ずさんでいる
いつか私は風にもたれて
笛を吹いていたが・・・

それが優しさだとはもう言わない

(1978.12)

by hannah5 | 2006-02-04 23:56 | 萌芽(before 1997)

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