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二十代がうっとうしかった   


私がもう少し若かったら
なんて思ってみても無駄なことは思わない
私はそれなりに生きてきたのだし
若くて素敵な人たちに今出会ったからといって
私の人生が色褪せてしまうわけではないから

他の人たちがきらきら輝いていた時に
私は少しも輝かしい気分になれなくて
できたらなるべく早く老成して
少し疲れた大人の雰囲気を身につけ
分別臭く生きてみたいものだと思っていた
人生というには
かなり寸法が足りなかったし
広げてみても白々とした二十代が
薄紙のように広がっていた

あの時の思いは
バネのように跳ねて
―― ずっと跳ねて
山のような塊をいくつも抱え
それらを一つ超え
二つ超え
三つも四つも超えて その果てで
身につけていたものをすべて脱ぎ捨ててしまったら
―― 日本人であることも捨てて
本当の自分に行き着くのだろうと思っていた

ふと思う
二十代の頃の寸詰まりのような思いは
まだ終わっていないのだと
もう一つ 最後の大きな山のような塊を
超えなければならないのだと

by hannah5 | 2007-01-16 21:45 | 作品(2004-2008)

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