花火
2007年 08月 18日
空の中から光が生まれる
紅や黄や緑やゴールドやシルバーの光が
暗い夜空の奥から
生まれては溢れ
生まれては溢れ
あんなにたくさんの光が
空の中に棲んでいたなんて
空は朝も昼も夕方になっても
ずっと知らん顔していたから
空の中から光が
嬉しそうに飛び出してくる
兄だか弟だか
姉だか妹だか
順番が待ちきれなくて
生まれるのが待ち遠しくて
先にも後にも飛び出してくる
先に生まれた兄たちは
ぐわんぐわんと空を染めた
後から生まれた妹たちは
カラコロと笑いころげて跳ねていった
光はその先にもその先にも
大きな輪を描いて
しゃらり
しゃらり
袂を上げてはこぼれ落ちる
大きな袂がしなだれて落ちるたびに
ほぉ・・・
と、小さなため息が漏れて
あなたは頬を紅潮させて見ていた
まわりの人たちは
大きな花火があがるたびに
わぁ・・・とか おぉ・・・とか すごい!とか歓声をあげ
中には解説する人もいたりした
けれど私たちは
ほとんど何も言わずに見ていた
たまにどちらからともなく
感嘆のため息が漏れた
もう五年になるのかな
あなたが見に出られなくなって
あれからずっと
あなたがいないまま
夏になると花火を見ている
by hannah5 | 2007-08-18 23:29 | 作品(2004-2008)