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城戸朱理さん主催のProject Ararat «JN氏の「秋」»に参加しました   


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  秋    西脇順三郎

タイフーンの吹いている朝
近所の店へ行って
あの黄色い外国製の鉛筆を買った
扇のように軽い鉛筆だ
あのやわらかい木
けずった木屑を燃やすと
バラモンのにおいがする
門をとじて思うのだ
明日はもう秋だ


猛暑がいまだに足跡を残す9月のある日、A4サイズの少し集めの封筒が届けられた。送り主は城戸朱理さん。封筒をあけると、『西脇順三郎コレクション』(慶応大学出版局)の内容見本パンフレット、西脇順三郎の詩篇「秋」をシルクスクリーン・プリントしたカード、ドイツのステッドラー社の黄と黒のストライプの鉛筆、赤茶色の封筒が出てきた。カードと鉛筆は『西脇順三郎コレクション』のパンフレットにスコッチテープで丁寧に留められている。赤茶色の封筒には1通の趣意書が添えられていた。趣意書の冒頭には西脇順三郎の「秋」が添えられていて、「黄色い外国製の鉛筆」の説明と考察、同種の鉛筆を探し求めた城戸さん自身の思い出、「バラモンのにおい」から広がる異国情緒のイメージ、インドのカースト制度の話が丁寧に書かれていた。趣意書の最後には城戸さんの自筆のサインとProject Ararat の判が添えられていた。

趣意書を読んでいるうちに、四次元の世界に踏み込んだような眩暈を覚えた。何かがゆっくりと立ち上ってくる気配がした。「黄色い外国製の鉛筆」は、たぶん、当分削れない。バラモンの香りは、西脇順三郎の詩よりも城戸朱理さんの趣意書から漂ってきたと思ったのは私の気のせいだろうか。(写真は城戸さんの了解を得て使わせていただきました。)


Project Ararat 《JN氏の「秋」》1
Project Ararat 《JN氏の「秋」》2

by hannah5 | 2007-09-28 20:55 | 詩のイベント

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