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ある形   


届かない遠いところにあるものの

忘却と記憶の曖昧な境目に
霧のように現れて
見るともなしに見え
捕えようとすれば
手の中に留まらない
もの

忘れていた眠りの合い間に
夢のように立ち現れて
そこはかとなく 消えることなく
また 消えるように

夜が深々と溶けだす頃
うつせみの小さな裂け目から
静かに放たれる

風のように流れ
雨のように彷徨い
生まれ 創られ
倦み疲れ 渦巻き

やがて浄化され
新しさが始まり
捕らえることのできなかったものが
ひとつの姿となって現れる

襞と襞の合い間に在る
もの

名前のない

by hannah5 | 2007-11-27 23:48 | 作品(2004-2008)

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