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時計が十二時を打ったら   


猫のように床にうずくまる
板張りの床はひんやりと寒くて固い
だが 椅子に座るより自由で
魂が居つくにはちょうどいいようだ

床の上で眼をつむっていると
時間がゆっくりと廻転していく
今まで聴こえていた街の音が少しずつ小さくなり
やがて完全に消滅する

それからわたしはあくびを一つして
ゆっくりと手足を伸ばした


音の途絶えた夜の一隅に小さな亀裂ができ始めていた
一つ さらにもう一つできた
亀裂は次々とでき
やがてある時 突然 夜のいたる所に広がった

冷えた体を丸め
亀裂の中を覗きこんでみる


きのうの出来事を広げてみた
小さないらだちがぶつぶつの泡となって広がっている
ところどころ腫れている
不快指数が高くなりそうな気配なので
きのうの出来事をたたんだ

半年ほど前の出来事を広げてみた
あの時の青い空は長く続かなかった
晴れのちくもり やがて雷雨になった
きょうは乾いた雲が広がっている
半年ほど前の出来事をたたんだ

明日の出来事を広げてみた
きょうまでの出来事の片隅に明日の予報が小さく載っている
くもりときどき晴れのち雨のち・・・・・
その先がよく読めない
明日の出来事をたたもうとした
が たためなかった


深夜の底で
出来事を広げたりたたんだりしている


冬の夜が猫のように忍び足で歩いている



(12/31 全面的に書き直しました)

by hannah5 | 2007-12-30 23:45 | 作品(2004-2008)

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