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刃の先   


眩暈がするようなその始まりを
あなたはよく知っていて
まるで魔術師のように
魂の一番奥のもっとも適切な中心部から
いともたやすくかろやかに引っ張り出し
ごくさりげなく目の前に置いてみせる

平凡と非凡の差はごくわずかで
その差異を決めるのはほんの一瞬
一秒にも満たない早業だ
それはまるで野生の獣が
風に乗って流れてくる微量の獲物のにおいを
瞬時に察知してとらえるようなものだ

あるいはまた
薄刃のナイフにほんの少し触れただけで
触れたことさえ感じないうちに血が溢れる
鋭い痛みを感じるのは
血が流れてしばらくしてからだ
もしかしたら
切れた痛みさえ感じずに血が流れるかもしれない

わたしはそんなふうにして
切られた傷のただ中に立ちたいと思う

by hannah5 | 2008-01-02 23:53 | 作品(2004-2008)

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