2005年 02月 21日 ( 1 )   

浅い春   


春まだ浅い港にはかすかな痛みが残っていた
思い出ははるか彼方に行ってしまったけれど
あなたを想って過ごした時間は
いつまでも波間を漂っている

桟橋はあの時より賑やかになった
風もずっと穏やかになった
あなたと過ごした時間を知る人たちも
もういない

どのくらい海を見つめていたのだろうか
言葉も交わさず
嬉しさと悲しさを交錯させたまま
抱き合ってとめどもなく歩いた

路地裏の街灯の下に山茶花が浮かび上がった
港の灯りがぼんやりとにじんだ
冷え切って疲れた体をもてあましながら歩いた
長い長い坂道

あなたは知っていたのだろうか
いくつもの季節が過ぎ
いくつもの思い出が流れても
ひとつの痛みが去らないことを
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by hannah5 | 2005-02-21 01:06 | 作品(2004-2008) | Comments(10)