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無題   


もう あの美しい村を
土足で歩くのはやめるとしよう
夏が過ぎて
透きとおるような落葉松の新芽が
すっかり紅葉し
カサカサと枯草ばかりだった草原には
りんどうの花が咲いていても


(1977.10)

# by hannah5 | 2004-11-08 23:13 | 萌芽(before 1997)

猫踏んじゃった 引っかいた   


僕のひそかな楽しみは
尖った爪を立てること
立てた爪で柔らかなものを
ひたすらがりがりやることさ

こういうふうにね
傷のない柱はかっこうの標的なんだ
柱を見ると
もういてもたってもいられなくなるんだよ

僕の中の血が騒ぐ
ひたすら がりがり
がりがり やってみたくなる
人間にはそんな血はないみたいだね

だけどね
怒られそうな予感がするから
もっと引っかきたいけど
このへんでやめとくね

どうか怒らないでね
お願い。。。

被害届け

# by hannah5 | 2004-11-08 16:21 | 作品(2004-2008)

悲しみの向こう側   


人は亡くなってから語ることがある
生きている時には到底伝えられなかった事が
亡くなってから
ある時ふっと心に声が聞こえることがある
鋭い悲しみがやや収まってから
静かに響く人の声

そう
それが本当に言いたかった事
あなたに伝えたかった事
あなたと想いが共有できたことで
やっとあなたに心が託せるようになった
あなたが悲しみをひとつだけ
乗り越えたから

キャパのこと

# by hannah5 | 2004-11-08 11:14 | 作品(2004-2008)

私の好きな詩・言葉(14) 「万象の詩夜」   

ネットの中でいい詩が読みたい。そう思って探していた時にfibich さんのブログと出会いました。10年近くもネットで詩を書き続けていらっしゃるという fibich さんの詩には時代の流行に流されない言葉の美しさがあり、言葉の端々からfibich さんの詩への限りない郷愁と熱い想いが伝わってきます。

「万象の詩夜」は初めて読んだ時、詩の前でしばらく釘付けになりました。生きた言霊と詩が訴える詩人の心。私の魂の中で深く訴えるものがありました。(幻想と日常 ~La Fantazio kaj la Kvotidiano


万象の詩夜

詩になる映画を見た夜は
我が言霊も揺すられて
夢など到底見られない
言葉が秘めるその力
感じて夜空を見上げては
明日になるのをじっと待つ

詩になる映画を見た夜は
会えない友を思い出し
眼差し遠くなりがちな
新たな言葉が口をつく
ふと峙てた耳の先
秋の夜長の虫が鳴く

我が振り返し万象の
数多の言葉空に咲き
口をついては現れる
命にも似た言霊の
明日無きさだめに涙して
更けゆく秋の空見上げ

# by hannah5 | 2004-11-07 11:20 | 私の好きな詩・言葉

へそが茶沸かせば   


あなたからもらったものは数々あるけれど
一番大事にしているものは
どんな時でも
なんだかとっても可笑しくなって
くすくす笑ってしまうことではないかしら

ユーモアがお腹の中で
勝手にころころ転げて
へそが茶沸かす頃
あなたは人知れずくすくすっ
あたたかい空気があたりを包む

カーテンが下りるまで
夢の続きを話しながら
心ほどいて
お腹がくすくす揺れるのを
もうちょっと楽しみましょうね

# by hannah5 | 2004-11-07 00:03 | 作品(2004-2008)